のらねこ日記

読書、映画、考え事など。色々なテーマを扱える人になりたいです。

八海山は青春の味

八海山は青春の味。

大学時代に盟友とよく飲んだが故。

今でも八海山を飲むと、彼の顔が思う浮かぶ。

 

八海山を飲んで、友の顔を必然的に思う浮かべるのは嬉しい事にて。

モノに思い出が付随した時。

それは大切な宝物になる。

今は遠い地にてお互いの道を進んでいるので、八海山を一緒に飲む事はないのだけど。

それでもなお、僕は八海山を飲めば、思い出に浸れる。

浸る事で幸せな気分になれる。

 

八海山とは日本酒の銘柄である。

大学生の頃、初めて美味い!!!と思ったお酒。

いわゆる大人の階段登る的な意味合いもあったのだろう。

日本酒を美味い、と言える俺って大人、との感慨。

単純なれど、僕は酒を飲むのは微かなファッション性を帯びている行為だと思っている。

 

さて、そんなわけで日本酒の話。

飲む人口が少なくなっているとか。

僕自身は上記の通り日本酒好きなので残念な事。

 

なれど、僕は日本酒が好きなので。

こんな本を読んだ。

 

「日本酒の科学」

和田美代子 著

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日本酒が生まれる過程は一種の奇跡的な芸術性がある。

伝統芸とはいうものの。

日本が生んだ技術の結晶である。

 

僕自身が日本酒に関して思う事は。

日本酒は深みにて語るものではなく。

ワインであれば渋み?

ウイスキーであれば味わいの深み?

では日本酒は?というと。

僕は味が洗練されている事だと思う。

日本酒を極めていくと透明に近づいていくのだよね。

なので、刀のようなイメージを抱いている。

美味な日本酒は、日本刀の刀身における美的感覚と似通うものがある。

 

そんな日本酒の魅力をより深く知る事ができる。

 

日本酒を生み出す菌の話が抜群に面白かった。

例えば、日本酒を醸造する過程で桶を使用するのだが。

桶に住み着いた乳酸菌が重要であるとか。

故に日本酒の蔵元は桶をメンテナンスして長く大事に使うそうである。

 

今でならば、〜なわけだから桶を大切に使うんです、と説明できるが。

そのような知識がない時代にはそうではなかった。

桶を大切にしようした結果、日本酒をより美味しくする技法が定着したのである。

実に興味深い話。

 

他にも、蔵元に菌が居着いているからこそ、引越しの際に蔵元ごと移動させる、等の面白い話が紹介される。

 

日本酒に限った事ではないが。

酒とは微生物による発酵の結果でアルコール分を生み出している。

近年、滅菌・殺菌・除菌等と、菌(微生物)を目の敵にする風潮があるが。

酒が生み出される過程を知れば、単純に菌=微生物=悪者、との考え方はなくなる事だろう。

 

例えば、日本酒を醸造する決め手となる、清酒酵母(日本酒の素と言える)は・・・

1mLの清酒酵母の中に、2億個程までに微生物が増殖するとの事。

日本の人口以上なのだから凄まじい話である。

 

 僕はこのようなサイドストーリーが好きである。

より日本酒を楽しめるが故。

気になる人は是非。

うまくまとまった本だと思う。

 

美術の楽しみ方入門として〜楽園のカンヴァス〜

絵画はシンプルな見方をすれば良いのよ、と言われた事がある。

基準はただ一つ。

"家に飾りたいか?否か。”

一番家に飾りたいと思った作品が、あなたのお気に入りだから、と。

 

僕は足繁く美術展に通うようなタイプではないが。

たまに行けば楽しめる。

そんな話をすると、"美術なんてわかるのかよ〜"などと冷やかされるが。

綺麗なものを鑑賞するとの意味では。

美人も美術も変わらないと思うわけである。

わかるどうこうではなく。

純粋に綺麗なものを鑑賞するのは楽しい事だと思う。

 

そんなわけで、少々は美術作品を嗜んだ時期がある。

故に、アンリ・ルソーと言われれば作風が思い浮かぶ。

と、言うより、好きな画家の一人、である。

彼の作品は一言で言うと、面白い。

 

そんなアンリ・ルソーにまつわるミステリーを小説にした作品を読んだ。

 

「楽園のカンヴァス」

原田マハ

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あらすじを引用。

ニューヨーク近代美術館学芸員ティム・ブラウンは、スイスの大邸宅でありえない絵を目にしていた。

MoMAが所蔵する、素朴派の巨匠アンリ・ルソーの大作『夢』。

その名作とほぼ同じ構図、同じタッチの作が目の前にある。

持ち主の大富豪は、真贋を正しく判定した者に作品を譲ると宣言、ヒントとして謎の古書を手渡した。

好敵手は日本人研究者の早川織絵。

リミットは七日間―。

ピカソとルソー。二人の天才画家が生涯抱えた秘密が、いま、明かされる。

 

比較的、露出度の高い作品。

書店さんで平積みされている事が多い。

そこそこ分厚い本だが、サラリと読める事は保証する。

 

美術作品には物語がある。

本書を読むと、そう思うに違いない。

 

美術展に行けば、初期の作品が云々、〜に影響を受けてどうのこうの、との説明文をよく読む。

モネが日本の浮世絵に影響を受けた、なんて話は有名だし。

ムンクの作風が彼の人生を投影しているように思えるのも納得できる。

 

美術作品を純粋に"美"として楽しむ事もできるのだが。

物語の一部としても読み解ける。

絵画は画家の精神が投影されたもの、なのである。

画家が貧乏であったか?どうか?

家族構成は?云々。

・・・

世の中の大抵の事象は、"線で読み解くと面白い"

つまり、人生が確かに存在していると実感する事が肝要。

目の前に存在する絵画に対してストーリーを想像できるか?がポイント。

物語の先にある作品であると思うかどうかで感じ方は変わる。

 

本作はストーリーとしての美術をうまく描いている。

美術の楽しみ方入門としてオススメできるレベル。

美術に手を出したいけど敷居が高いなぁ、と思っている人は読んでみたらどうだろう。

 

「ジャッキー ファーストレディ 最後の使命」

ケネディ大統領暗殺。

誰しもが知るであろう大事件。

1963年11月22日の出来事。

 

映像で残っているのが衝撃的。

インターネットで検索すれば、決定的瞬間がすぐに見れてしまう。

不可解な点が多く、陰謀説が囁かれているのでテレビでも取り上げられる事が多い。

 

そんな大事件を・・・

ケネディ大統領の妻であったジャッキーの視点から描く映画。

「ジャッキー ファーストレディ 最後の使命」

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歴史的大事件を別の角度から照射する。

 

よく考えると、当たり前の話だが。

ケネディ大統領にも家族がいた。

夫が暗殺されて34歳で未亡人となった女性がいた。

小さな子供達がいた。

・・・

"ケネディ大統領暗殺"が一つの家庭を襲った悲劇であると気づく。

 

僕の中で、ケネディー大統領暗殺とは、過去に起きた歴史的大事件でしかなく。

陰謀説が語られる事でテレビドラマの中で起きた事のように思えていた。

言い方に語弊があるかもしれないが。

暗殺を痛みとして共感する目線があるのが初めて。

 

ジャッキーの経歴を引用すると。

24歳でケネディと結婚

31歳でホワイトハウスに入り、34歳で未亡人となった・・・

 

 本作は3つの時間軸で構成される。

ホワイトハウスを紹介するジャッキー(暗殺前)

・暗殺直前〜直後

・暗殺から少し経った後のマスコミからのインタビュー

場面が転換しながら物語が綴られる。

 

ジャッキーを演じるのはナタリーポートマン。

 

明暗の振り幅が観客の感情を揺さぶる。

・暗殺前の空間を華で彩るような笑顔。

・悲劇が起きた後、悲嘆の表情。

本作に深みを与えているのは彼女の演技である。

 

感情の交錯。

目の前で夫を銃殺された妻、なのである。

悲嘆、混乱、悲しみ・・・

それでいて、アメリカ大統領のファーストレディーとして"最後の使命"があるとの意識。

 

強い女性の物語ではないと思う。

予告編を見る限り・・・

"夫を暗殺されても使命を果たしたファーストレディー"的な描かれ方かと思っていたが、そうではない。

彼女が抱える感情の複雑さに言葉を失った。

 

ただ、複雑な感情を表に出すような作風ではない。

ナタリーポートマンのまなざし、表情に感情が滲む作品。

抑圧した思いが漏れ出ている。

 

本作は派手な映画ではないと思う。

ただ、主題は"痛み"であると捉えた時。

滲み出ていた出血量の多さに恐れ慄く。

 

感情を爆発させる表現も嫌いではないが。

抑圧した中に堪えきれない感情の欠片を感情を読み取った時。

心の中に残るものがある。

 

ちなみに、本作の監督は「NO!」たる良作を生み出した方である。

注目に値する。

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「イノセントデイズ」〜儚き雪の結晶を抱くような話〜

書店が推している本。

すなわち、流行りの本に手を出したのは久しぶり。

目立つ場所に平積み。

話題であろう事、間違いなく。

著者も内容も知らぬが、読んでみようと思いて手に取った。

 

日曜日に購入して。

月〜火で読み終えた。

 

夢中になれる本である事、保証する。

 

「イノセントデイズ」

著者 早見和真

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あらすじを引用。

田中幸乃、30歳。

元恋人の家に放火して妻と1歳の双子を殺めた罪により、彼女は死刑を宣告された。

凶行の背景に何があったのか。

産科医、義姉、中学時代の親友、元恋人の友人など彼女の人生に関わった人々の追想から浮かび上がるマスコミ報道の虚妄、そしてあまりにも哀しい真実。

幼なじみの弁護士は再審を求めて奔走するが、彼女は……筆舌に尽くせぬ孤独を描き抜いた慟哭の長篇ミステリー。

 

死刑囚の話。

名前は、田中雪乃。

彼女が死刑執行に向けて連行される所から物語は始まる。

 

テーマが死刑。

決して軽い話ではない。

"少女はなぜ、死刑囚になったのか"を読み解く物語である。

 

本作は、田中雪乃たる人物を他者の目線で描きながら紡がれていく。

つまり、他者の視点から田中雪乃たる人物像を炙り出す形で構成されている。

 

再び引用すると。

産科医、義姉、中学時代の親友、元恋人の友人など彼女の人生に関わった人々の追想から田中雪乃の人物像を描く

のである。

 

田中雪乃は死刑に値する、とマスコミで描かれている点。

対して、近しい人物から見た彼女の姿にギャップがある事に主題がある。

つまり、主観的見地から、彼女は死刑に値しないのではないか?と読者に思わせる作品である。

では、何故?との興味に読者は吸い寄せられていく。

 

様々な人物から語られる田中雪乃の人物像が徐々に読者の中に形成される。

まるで、初冬に降り積もろうとする雪のように儚い存在であると気づく。

読者は思う。

"田中雪乃は本当に死刑に処されるべき人物なのか?

 

2パターンの結末を想起する。

(言ってしまえば、田中雪乃は犯罪を犯したのか?否か?死ぬのか?生きるのか?である。)

その点、ミステリーのようなドキドキする要素を含む。

故に、最後まで緊張感を保つ構成となっている。

 

結末に対する解釈は人それぞれ。

(解説の辻村深月さんの見解は胸を打つ。)

この点は読んで自分なりに咀嚼して欲しい。

 

イノセントとは、"潔白な・純潔な・無邪気な・無垢"との意味である。

イノセントな存在が壊れようとしている時、人は守りたいと思う。

守りたいとの感情が芽生えた時、本作は読者の感情を揺さぶる 。

 

雪乃、たる主人公の名前にもあやかっているが。

 

本作の感想は・・・

まるで、雪の結晶を崩したくないとの気持ちに似ている。

儚くて、壊れやすいもの。

でも、美しくて守らなければいけないもの。

そんな存在にどう向き合うのか?との話である。

 

映画でいうと、グリーンマイルに似ている。

壊してはいけないものを壊そうといる感覚。

手を差し伸べる事ができたなら、どんなに楽な事か。

「マリリン 7日間の恋」

「何を着て寝ますか?」

「シャネルN°5を数滴」

・・・

マリリンモンローを語る上で有名なやりとりである。

・・・

僕は香水に興味はないのだが。

このやりとりで"シャネルN°5"だけは知っている。

(具体的にどんな香りかは知りませんけどね。)

 

「私は寝る時、シャネル N°5だけを身に纏って寝るわ」的な発言。

これはマリリンモンローだから許される言葉であって。

恋人から言われても・・・

"風邪引くよ。服着な。"と言ってしまう気がする。

 

僕はマリリンモンローをリアルタイムで知らない。

「何を着て寝ますか?」

「シャネルN°5を数滴」

の人、との印象。

そして、その言葉がぴったり似合う女性なんだろうな、と思っていた。

 

マリリンモンローは「永遠のセックスシンボル」と評される。

※セックスシンボル(性的な魅力に溢れた人の事)

 

どんな気持ちなんだろう?と、思うよね。

性的な目で見られるのをどう思うか?との話は論点になるが。

ともすれば、"気持ち悪い好奇の目"とも思えるし。

それで芸能界を辞めたくなる人もいるわけで。

 

プレッシャーとの言い方が正しいのかわからないが。

型にはめられて演じるってのは苦しいもの。

"セックスシンボル"としてのマリリンモンロー。

では、そうではない彼女は?

 

マリリン 7日間の恋

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本作の肝はマリリンモンローの内面的な部分に触れた点。

 

あらすじを引用。

数々の伝説に彩られた女優マリリン・モンローと年下の英国人青年との知られざる純愛を描いた、甘く切ないラブストーリー。

主演のミシェル・ウィリアムズがモンローの天真爛漫、繊細でピュアな側面に焦点を当てた役作りで数々の映画賞を受賞。

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僕自身はマリリンモンローを知らないので。

マリリンモンローを演じたミシェル・ウィリアムズが似ているか?否か?は不明だが。

マリリンモンローの不安定な内面がシーソーのように揺れるのを見事に描いていたと思う。

 

一方、恋人役であるコリンを演じるエディ・レッドメインも光る。

いいところのお坊っちゃまがマリリンモンローに恋していく様が見事にハマリ役。

彼は繊細さを体現するのが巧み。

その後「リリーのすべて」で脚光を浴びたのも頷ける。

 

※出演者に美人のお姉さんがいると思ったら、エマワトソンだったとのおまけもある。

 

大女優であるマリリンモンローと若造であるコリン(エディ・レッドメイン)の恋物語なんて・・・

どーせお遊びだったんでしょ?的な解釈もわからないでもないが。

 

本作は、若造であるコリンの目線で主観的に美化された恋の物語と捉えたい。

過去の恋は一瞬だけを切り取ればほぼ100%宝物になる。

結果的に別れた恋であってもそうではないだろうか?

 

一瞬だけであったとしても、そこに真実があったならば。

僕はそれを信じて宝物にして良いと思う。

注いだシャンパンの泡が消えたとしても。

泡が存在したのは事実なんだから。 

 

いわば、年上の大スターとの恋愛との妄想に近い。

なんとなくノスタルジックな感じがするのは何故だろう。

「ミリオンダラーベイベー」

昔、予備知識なしに観て衝撃を受けた。

今回、2回目。

改めて素晴らしい映画と感じる。

 

多くの人に観て欲しい映画。

全てが丁寧。

 

「ミリオンダラーベイベー」

 

"選択"の物語だと思う。

 

人は誰しも、"選択"をする。

進路、転職であったり。

成功と失敗が50/50とは限らない。

時に、失敗する可能性が高くてもチャレンジする場合もある。

 

チャレンジは"成功と失敗"の可能性が表裏一体。

成功はヒーローで、失敗は戦犯。

やってみなければわからない、とは言うものの。

失敗した時の結果は受け止めなければならない。

 

本作は"選択の先にあるもの"を描く。

成功と失敗。

歓喜と悲劇。

・・・ 

"選択"には結果がつきまとうから迷うのである。

そして、別の選択肢を選んだ結果が想起されるから後悔するのだ。

 

これは誰しもが経験する事。

故に、本作は胸に迫るものがある。

 

あらすじ

ボクシングの話。

女性ボクサーであるマギー。(右)

トレーナーであるダン。(左)

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マギーは貧乏。

ウエイトレスのバイトをしながらボクシングを続ける。

話が進むと家庭環境に恵まれていなかった事がわかる。

 

ダンは、見ての通り老人。

ボクシングトレーナーである。

ただ色々な影を抱えている。

 

マギーとダン。

ボクサーとトレーナー。

二人の邂逅から始まるボクシングの物語。

少しずつ信頼を重ねて心を通わせていくが・・・

 

これ以上はネタバレになるので触れず。

ただし、ロッキー的な話ではない事だけはお伝えしておく。

 

光は影があるから存在を感じる。

逆もまた然り。

眩い光が鮮やかであれば鮮やかな程、陰影は強くなる。

 

グラデーションが巧みに描かれた一枚の絵を鑑賞した気分。

本作は、そのグラデーションの中に人間の尊厳を投影する。

 

選択に対し賛否両論はあるだろう。

だけど、個人が正しいと信じて進んだ選択の道を僕は肯定的に捉えたい。

 

宗教であったり、人種の壁の考え方が入り混じりつつ。

人間の尊厳について考えたくなる。

あらゆる問題を包括した映画。

ここまで倫理観を揺さぶられた映画は初めてであった。

久しぶりのスティーブンキング「ペットセマタリー」

久しぶりにスティーブンキングの作品を読んだ。

 

思えば、読書人生の先駆けにいるのがスティーブンキング。

地元の図書館によく置いてあった、との背景もあるが。

紡ぎ出す世界観が好きだった。

 

彼の作品は大きく二つの分類があって。

①ハートウォーミング

②ホラー

まったく逆のベクトルを描けるのが彼の実力なのだろう。

 

なお、スティーブンキングというと、あまり知らない人もいるのだが。

多くの名作映画の原作となっている。

挙げるなら・・

・「スタンドバイミー」

・「ショーシャンクの空に

・「グリーンマイル

などなど。

言うまでもなく珠玉の名作。

 

僕は、スティーブンキングをオススメする時によく・・・

「これだけ作品が名作映画になっているのだから、原作も名作に決まってるじゃん」

と言う時がある。

素晴らしい小説が必ずしも良い映画になるとは思わないが。

駄作の小説はそもそも映画化されません。

良い小説には素晴らしいスタッフがつく。

など、条件は揃うのと思う。

 

加えて、スティーブンキングの作品は映画化しやすい、と思う。

いわゆる鉄板。

僕の中では、小説界のクリント・イーストウッド的な地位を占めている。

外れがないとの点で。

 

ただ、最近、離れていたのは。

翻訳文が肌に合わない時があるため。

 

「ペットセマタリー」

著者 スティーブンキング

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あらすじを引用。

都会の競争社会を嫌ってメイン州の美しく小さな町に越してきた、若い夫婦と二人の子どもの一家

だが、家の前の道路は大型トラックがわがもの顔に走り抜け、輪禍にあう犬や猫のために〈ペットの共同墓地〉があった。

しかも、その奥の山中にはおぞましくも…。

「あまりの恐ろしさに発表が見あわせられた」とも言われた話題作。

 

スティーブンキングはホラーの帝王と呼ばれる。

その名にまったく恥じない作品。

作品で一番好きとはいかないが。

スティーブンキングが好きだった時代を思い出すには十分だった。

 

総評すると、この人は恐怖のツボを知っている。

接骨院でよく効くツボを思いっきり押されるように、恐怖のツボに圧力がかかる。

決定的なシーンの描写がとにかく怖い。

読者に恐怖のイメージが膨れ上がる。

じわじわと空気を送り込まれた風船のように

小説で、あぁ怖いな、と思ったのはスティーブンキングが初めてだったかも。

 

本作も同じく。

真綿で首を絞められていくような恐怖感でじわじわと恐怖が募る。

 

田舎に引っ越してきた家族を襲う恐怖。

人間の本質的な弱さを逆手に取られた悲劇。

誰しも、自分だったら?を想像してしまうし。

その答えに戦慄して慄く。

 

またスティーブンキングを読み始めてみようかな。