読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

のらねこ日記

読書、映画、考え事など。色々なテーマを扱える人になりたいです。

健気であるのは良い事です。「あかんべえ」 宮部みゆき

"とにかくおもしろい。" 宮部みゆきさんの作品は、必ずそう言いたくなってしまう。 物語に没入させるのが巧み。 気づくと、物語の中に自分がいる。 小説の醍醐味は、この没入感である。 本書は、江戸時代の料理屋「ふね屋」が舞台。 「ほうほう、江戸時代の…

飽きない庶民の味が小説になりました。「カレーライスの唄」

素朴である。 実に、素朴であり、純。 食品添加物を一切使わず、無農薬野菜のみで肉じゃがを作ってみました、みたいな感じである。 ストーリーのみならず、登場人物もまた純。 それゆえに飽きがこない。 本書よりも華やかで、劇的な本はいくらでもあるだろう…

太っているから肉子ちゃん「漁港の肉子ちゃん」

"やわらかい"っていいな。 そんな事を思った。 この小説は全体的に"やわらかい"。 やわらかいものといると人は安心する。 読んでいて安心感に包まれる。 僕自身、西加奈子さんは2作目。 前に読んだ時も、同じようにやわらかさを感じた。 良き作風なり。 「漁…

「掏摸」中村文則

天才スリ師。 甘美な響きである。 なんだろう。鮮やかな盗みの手口は、人を酔いしれさせる。 もちろん、悪事である事は重々承知なのだが。 楽しみたい。せめて物語のなかだけでも。 「掏摸」 中村文則 本書は天才スリ師の話である。 ただし、難攻不落の城か…

"南アルプスの天然水"に魔法をかけて、黒髪の乙女にしたらこんな感じ。「夜は短し歩けよ乙女」

極上で、最高にポップな小説。 晴れ渡る7月の空の下、水水しい果樹園に冒険に行ったかのような気分になる。 フルーツに例えるなら、"さくらんぼ"かな。 "この小説はなんかかわいい"です。 「夜は短し歩けよ乙女」 森見登美彦 もし、本屋にいって、この本が目…

"主観的な愛"が平行線を辿る。「母性」

「こうして母親は子供を守っているのです・・・。」 昔、野生の動物特番で聞いた事あるようなナレーションを思い出した。 草食動物がライオンが戦っている映像が流される。 TV画面から流される主張を当たり前のように受け入れる。 母親は子供を守るのに理由…

虚構の真実を追い求める物語。「ユージニア」

「ノンフィクション?あたしはその言葉が嫌い。事実に即したつもりでいても、人間が書くからにはノンフィクションなんてものは存在しない。ただ、目に見えるフィクションがあるだけよ。目に見えるものだって嘘をつく。聞こえるものも、手に触れるものも、存…

確実に男・女で立ち位置がブレる。「さよなら渓谷」

映画化作品。 もし、小説 or 映画に手を出そうとしているなら"映画の予告編"は見ない事をおすすめする。 物語の核心に触れており、"知る・知らない"で印象が異なるから。 よって、本ブログでも核心には触れぬ。 ただ、本書、核心に触れぬと紹介が困難なのは…

よりバカバカしく、おもしろく、格調高い「四畳半神話体系」森見登美彦

おもしろさ、バカバカしさ、格調の高さの三要素がここまで兼ね備えられた作品はそうそう出会えない。 「四畳半神話体系」 森見登美彦 ・森見登美彦さんワールドが好きな人。 ・バカバカしい話が好きな人。 ならば100%楽しめる事を保証できる。 冒頭を引用す…

"手の届かない愛おしさ"あなたの忘れた大切なものを呼び起こすかも「ペンギンハイウェイ」森見登美彦

「ペンギンハイウェイ」 森見登美彦さん 「怒りそうになったら、おっぱいのことを考えるといいよ。そうすると心がたいへん平和になるんだ。」 「ずっと考えているわけではないよ。毎日ほんの30分ぐらいだから」 本文 p51から引用。 ・ ・ ・ ただ者ではない…

バカな男が愛おしく思える。「太陽の塔」森見登美彦

ある男が、大好きだった女の子にフラれた。 忘れられない。 思いが血流にのって全身を駆け巡り。 居てもいられなくなって、男はストーカーに走ったとする。 家の前で時々、待ち伏せしていたりするとする。 ある日、彼女の家の前で待っていた時、別の男に声を…

落花流水の生き様「一刀斎夢録」

禅語に"落花流水"たる言葉がある。 1つに男女の相思相愛を示す。 もう1つに、落ちた花が水に流れていく情景を指す。 花びらがいかなる運命にもひたすら無心に随う。 流るる水の中で、ひとひらの花びらがある。 その姿を禅は美しいと考える。 どこにゆくかは…

ニヤける文章の極致「恋文の技術」森見登美彦

電車の中で、ニヤけるのはご法度だと思っている。 何故なら、変人であると確定するから。 どこに知り合いがいるかわからない、もしくは未来のお嫁さんが・・・。 壁に耳あり障子に目あり、である。 電車の中では、キリッとした趣で読書に励む好青年でありた…

ノスタルジックファンタジー 恩田陸さん

恩田陸さんの作品は懐かしさがある。 解説にも書いてあるが、ノスタルジックとの言葉がよく似合う。 一冊読んで、何が、ノスタルジックなんだろう?と思い始めた。 パズルのピースみたいにハマるのに、どこか自分のものになっていない言葉。 カタカナ語って…

GWに読むべき本について考えてみる。

今週のお題「ゴールデンウィーク2015」 せっかくなのでGWに読むべき本について考えてみようと思う。 GWと言えば旅行です!!!! GWと言えば、世間一般で言うと旅行。 ただし、僕の周りには「人混みが嫌だからどこにもいかない」と明言している人が多い。 (…

忘れてしまった思い出は幸せで楽しくて、時々かなしい。「横道世之介」

「横道世之介」 吉田修一 忘れてしまった思い出は幸せで楽しくて、時々かなしい。 思い出すとクスリと笑いたくなる。そんな幸せ。 陽だまりでのらねこがとても幸せそうに昼寝をしている情景がよく似合う本。 (猫の話は一切出てこないがね) 横道世之介とは主…

文章にユーモアが滲み出る。「不実な美女か 貞淑な醜女か」

「不実な美女か 貞淑な醜女か」 米原万里 文章にユーモアが滲み出ている。 テンポの良く全編を楽しめる。 ロシア語通訳者である米原万里さんが通訳について語った本である。 まず、タイトルが秀逸。 「不実な美女か 貞淑な醜女か」 ・・・ なんのこっちゃ?…

カタカタカタカタ・・・・・とのリズムで軽快に進んでいき、ごちゃごちゃになり、最後にストンと落ちる。絶妙な小説。

「ドミノ」 恩田陸 東京駅で27人+1匹の人生が交錯する話。 断片の交錯が各登場人物の人生を膨らます。 いい小説は登場人物が旧知の仲であるかのような錯覚に陥るが、27人+1匹でそれを実現しているからスゴイ。 小説の中ではなく、本当に27人と1匹が生きて…

パレード 吉田修一

「パレード」吉田修一 「中古品はこわいよね」 「なんで?」 ・・・ 「だって、”誰が、どう”使ってたものかわからないじゃん?」 「今あるものは、物質において完結しているのだけど。裏側に何があったのか?はあくまで想像に起因する。」 「”想像しなければ…

「影武者徳川家康」 上・中・下 隆慶一郎

この小説は"ガツン!!!!!!"となる。 まず、いきなり徳川家康が殺される。 関ヶ原の戦いの最中に、敵の忍びに暗殺されるのである。 ん?フィクションか?と思うかもしれない…。 ご存知の通り徳川家康は関ヶ原の戦いで勝利し、その後に江戸幕府を開いた。徳川家…

技術を活かすとは何か?「花神」 司馬遼太郎について

◆「花神」 (上・中・下) 著者 司馬遼太郎 唐突に書評を書きたくなったのでゲリラ的に評してみようと思う。 (というより、書評をやりたくてブログを始めた感もある。) 司馬遼太郎さんの「花神」について。 一言でいうならば、生き方を学ぶ本だと思う。 (まぁ…