これは面白い!と誰かに紹介したくなる本である。
というより。
紹介する事で"記憶力は"強くなるのでそうしたくなる。
(と本書に書いてあって、まったくその通りだと思った)
本書を読んで・・・
①1週間後に誰かに紹介する。
②その2週間後に別の誰かに紹介する。
③その1ヶ月後に更に別の誰かに紹介する。
とのプロセスを踏む。
(その際、何が、どう面白かったか?自分の言葉で説明する必要がある。)
脳は"本を読む事"よりも、"本を誰かに紹介する事"を強く記憶するようにできている。
"インプット<アウトプット"である。
仕事でも同様だと思う。
①"誰かに報告しなければならない会議"
②"ただ出席しているだけの会議"
意識は雲泥の差になる。
そして、実際に報告する事で記憶は更に強固なものとなる。
(当然、ブログに本の紹介を書く行為も記憶を強固にしている。)
本書を読んで脳の仕組みについて色々と考える。
我々は基本的に生きた分だけ"脳"とお付き合いしている。
何となく仕組みを感づいている部分もあり面白い。
経験値は捨てたものではない。
本書。
語り口が巧妙。
脳科学のエンターテーメントである。
ほうほう、と頷きながらすらっと読める。
面白かったのは、記憶をファジーにするとのくだり。
ファジー記憶とは?
要は、曖昧な記憶である。
"曖昧な記憶"?そりゃ悪玉だ。
なぜなら、我々は試験の時に"曖昧な記憶"に苦しめられてきたから。
"あれ・・・どっちだったかなぁ・・・"と。
ただし、本書において。
下等な生物(個人的にはこの表現は好きではないが)程、記憶がファジーではない、という。
むむ?
と、どういうわけか?というと。
"ファジーな記憶"とは、Googleでいう "曖昧検索に近い"。
つまり。
Googleを開いて、検索ワードに"y"と打ち込む。yahoo!がヒットする。
これ、である。
ファジーな記憶を持たないと"y"の入力で"yahoo!"は導き出せない。
ファジーな記憶は近似値から可能性の高い選択肢を導き出す。
極端な事を言えば、"世の中で変わらないものはない。刻々と変わっていく。"のである。
知人の顔も1秒経てば正確に全く同じではない。
細胞は刻々と変わっていく。
もし、記憶が全くファジーではなかったら、知人の顔が結びつかない可能性がある、と考えるべきか?
おお、成る程、と感嘆する。
それにしても、脳科学の本を初めて読んだのだが。
記憶の成立とは、土台が磐石ではなく、どうやら危ういものであると感じた。
危うい、では語弊があるかもしれない。
ただ、何故、僕の中には記憶が蓄積されているのか、を不思議に思う。
そんな本であった。