"わかったつもり"であった事を認識させてくれる良書「わかったつもり」
「わかったつもり」
読解力がつかない本当の原因
著者:西林克彦
"わかったつもり?"
と自問自答する。
十中八九わかっていない事があるのだよ。
本書は"わかったつもり"になるカラクリを見事に解き明かす。
いや、実際に、"ほら、わかったつもりになってたでしょ?”と問われる構成になっている。
読者は読み進む中で、"ああ、わかったつもりになるとは、この事か!"と強烈に明示される。
"わかったつもり"とは、思考停止であり、受け止め方の再構築を怠る行為である。
知的活動を消滅させる。なめくじに塩みたいなものである。
では、"わかったつもり"にならないにはどうしたら良いか?
僕は以下の2点が必要であると読み解いた。
①大抵の事は"わかったつもり"であると自覚する事。
②何かしらの疑問を抱く事。
例えば、今日の新聞を持ってきて、1日中"わかったつもりにならず、疑問に思った事”を全て調べてみるといい。
"わかった!!!"なんて状態にはなれないと思う。
疑問はいくらでも湧き出る。
脳科学の話で、年をとると記憶力が衰えるなんて事はないとの説を聞いた事がある。
脳細胞自体は大きな変化はないのだ。
ただ、知的好奇心が薄れ、マンネリ化し、記憶しなくなるのである、と。
つまり、すべての事に対して初めて経験するかのような気持ちで向き合えば、記憶力に衰えはない、と。
なるほどなぁ、と思ったのだが、本書を読むと、もう一つの理由が思いつく。
ああ、年をとると、"わかったつもり"になりやすいんだな、と。
会社の上司を思い浮かべながら、妙に納得する。
人生で"わかる事"なんてそうそうないのだよ。
聞いた事はないけど、イチローにバッティングの秘訣はわかりましたか?と聞いたら・・・
「わかりません。ただ、現時点ではこう考えています。」
との答えが返ってくるのではないかな?と思う。
バッティングがわかりました!なんて奴、伸び悩みそうだよね。
うむ、わかる事なんてないのかもしれないな。
ならば、一読してわかったつもりになるなど、愚の愚、下の下、であろう事。