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のらねこ日記

読書、映画、考え事など。色々なテーマを扱える人になりたいです。

ノスタルジックファンタジー 恩田陸さん

小説:日本人作家 作家:恩田陸

恩田陸さんの作品は懐かしさがある。

解説にも書いてあるが、ノスタルジックとの言葉がよく似合う。

一冊読んで、何が、ノスタルジックなんだろう?と思い始めた。

パズルのピースみたいにハマるのに、どこか自分のものになっていない言葉。

カタカナ語ってのは便利だけど、実体はなかったりするよね・・・などと思いつつ。

 

今回読んだのは、いわゆるシリーズものである

「三月は深き紅の淵を」

「麦の海に沈む果実」

黒と茶の幻想

「黄昏の百合の骨」

を続けて。

 

その中で、僕は、自分が感じたノスタルジアを探した。

まるで故郷を失った者のように、ウロウロと彷徨いながら。

 

結果。

ああ、成る程、と思う所に到達した。

作品を読み続ける中で、エッセンスみたいなものが蓄積され具体化した、そんな気持ちである。

 

本の概要を説明をしておくと、

「三月は深き紅の淵を」

「麦の海に沈む果実」

黒と茶の幻想

「黄昏の百合の骨」

の4作品はシリーズものと言っても、続きでも連作でもない。

別の世界で他のストーリーが展開される、不思議なシリーズものである。

 

登場人物に共通性はある。

例えば、「麦の海に沈む果実」「黄昏の百合の骨」の主人公は水野理瀬だ。

同じく、憂理も何作かに登場する。

 

どれを読んでも面白い。

どこから読んでも問題はないと思う。

 

簡単に説明すると、

「三月は深き紅の淵を」

・一晩しか貸してはいけないとされる幻の本をめぐる4つの短編集。

 

「麦の海に沈む果実」

・三月以外の転入生は学園に破滅をもたらす。とされる、学園ミステリー。

 

黒と茶の幻想

・4人の友人が自らの「美しき謎」を解く話。

 

「黄昏の百合の骨」

・祖母が死んだ洋館をめぐる不思議なミステリー。

 

 

である。

 

読んでいく内に、少しずつ、ああ、成る程と心の内に溜まるものがあった。

別の作品なのであるが、小説が漂わせる空気感が同じなのである。

そうそう、これがノスタルジーを感じされるんだ、と思いつつ。

この懐かしい感じが何であったか?が少しずつ分かってきた。

 

結論。

恩田陸さんの作品からは、"本好きの少女時代"の匂いがします。

そう、ホントに本が好きな少女があれこれ空想、妄想、を爆発させたような世界観なのである。

少女時代ファンタジー・・・

本を読んで、こんな世界が本当にあったらな!(アリスの鏡の国とかね)とか、空想の中にあった世界観そのままなのである。

 

僕が懐かしいと思った、(ノスタルジックな気持ち)の正体はこれである。

幼少期に本が好きだった時代に描いたもの、自分はもう忘れてしまった世界観を、引っ張り出してもらえたようなそんな感覚である。

本が好きだった子供のころ、ともすれば、本の世界に自分が入れたらいいのに、と思った人が感じるノスタルジーなのである。

 

話の内容は、決して、少女向けの話ではないのだけど。

根底にある、地面の下を脈々と流れている水流のような部分は、間違いなく本好きの少年・少女時代を過ごしたものがノスタルジーを感じる、とてもとても愛しい世界観なのである。

 

だから、"「本が好き」それなら絶対、恩田陸"と帯に書かれる。

なんの描写もないけれど、図書館に行きたくなる。

 

ノスタルジックファンタジーと命名させていただきました。