のらねこ日記

読書、映画、考え事など。色々なテーマを扱える人になりたいです。

ニヤける文章の極致「恋文の技術」森見登美彦

電車の中で、ニヤけるのはご法度だと思っている。

何故なら、変人であると確定するから。

どこに知り合いがいるかわからない、もしくは未来のお嫁さんが・・・。

壁に耳あり障子に目あり、である。

電車の中では、キリッとした趣で読書に励む好青年でありたい!!!!

あわよくば、カッコイイと思われたい!!!!

と、思っていた僕の青々しい野望が粉々に打ち砕かれた本を紹介する。

 

読書中、終始、ニヤニヤ。

いかん!キリッと、・・・・ニヤニヤ、の無限ループ。

 

これがまた、ニヤニヤしてはいけない、と思うから余計に面白い。

ニヤニヤの快進撃、ニヤニヤの祭典。

 

最終的にはどうでもよくなって、ニヤニヤしながら読了。

凄まじい勢いで読み続けた。

 

読むのやめれば?と思った方は大たわけである。

面白すぎて読むのをやめられないのだよ。

嘘だと思うなら、読んでみなさい。

超絶おすすめ本である。

※とある友人に勧められた。この場を借りて、ありがとね。

 

「恋文の技術」森見登美彦

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この本は、京都の大学院から遠く離れた実験所に飛ばされた男、守田一郎がかつての仲間たちにひたすら手紙を書く話である。

 

物語は守田一郎が書いた手紙のみで構成されている。

相手側の手紙は載せられていないので、やりとりを想像するのが楽しい。

 

また、手紙をやりとりしている相手のキャラクターがおもしろい。

目次から引用するとこんな人たち。

 

・女性のおっぱいに目のない友

・私史上最高厄介なお姉様

・見どころのある少年

・恋文反面教師、森見登美彦先生(作者 本人)

・我が心やさしき妹

・(守田くんが恋する)伊吹夏子さん。

 

読者は守田くんの手紙を読む中で、事件が勃発した事を知る。

 

それは・・・「おっぱい事件」である。

もちろん、"女性のおっぱいに目のない友"が関係している。

守田くんはデカルトをもじった「方法的おっぱい懐疑」まで使って、友を諭そうとするが、失敗。

ミイラ取りがミイラになる如く、自分も・・・

そして、意を決して、友とある行動に出た時、「おっぱい事件」が・・・。

 

その他にも・・・

私史上最高厄介なお姉様との戦争は手に汗握る攻防。

見どころのある少年がヨーグルトばくだんを作ろうとする話。

など。

 

・・・思い出しただけで楽しくなる。

 

とにかく文章の表現がいちいち面白い。

これがニヤける原因である。

※もう説明不能なのでとりあえず読んでみて下さい。

 

手紙の形式をとっているだけあり、手紙のよさがにじみ出ている。

メールと手紙は別物であると、痛感。

似て非なるもの。メールでは小説にならないよなぁ。

俗に言う、手触りとか、温かみとか。

・・・なんと表現したらいいものか。

 

読後、100%手紙を書きたくなります。

個人的な論として"読後に、手紙を書きたくなる本にハズレはない"と思っています。

素敵な本でございました。

 

追伸

ああ、手紙の良さってこうも表現できるかな。

"手紙を書きたくなる本にハズレはない。"

これって、間接的だけど、手紙の良さを表現していると思いませんか?