のらねこ日記

読書、映画、考え事など。色々なテーマを扱える人になりたいです。

語感を知らぬ人は読む価値あり!「語感トレーニング」

"恩師を囲む会"

"恩師を取り巻く会"

・・・

なんだか後者は恩師の身が危険にさらされているように思える。

鉄バットがよく似合います。

確かに、殺伐とした感じがありますね。

 

同じ"ある対象の周りにいる"行動であっても、ニュアンスが異なる。

これが、"語感"である。

本書を読む価値は、日本語には語感がある、と知るだけでも十分。(※おそらく他の言語にもあると思うが)

 

語感と聞いて、はぁ?と思った方々。

¥720+税金で語感たる考え方を得られるなら安いもの。

書店さんへ行くべきである。

語感たる考え方は非常にしっくりくるものであった。

 

「語感トレーニング」

中村明

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 他にも好例多々。ふむふむ、と唸る。

例えば、"清純 "との言葉。

新明解の辞書で調べると。

〔少女などが〕世の中のけがれにそまらないで、いつまでも保っていてもらいたいと思えるほど、純真なこと、様子。

とある。

この言葉、基本的には若い女性に使う事が多い。

男性に使用する場合も、若い場合に限る、とする。

意味だけを考えるなら、世の中の汚れに染まっていない中年男性も老人もいる、と思う。

 知り合いの中年男性の顔を思い浮かべる・・・

確かに、小汚いのが何人か。清純なおっさんもいない事はない。

 

だが、実際に、"清純な中年男性"と表現すると、滑稽に聞こえる。

どう考えても、不釣りあいである。

おとぎ話の中にでてきそうな響きだ。

これぞ、語感のなせる術である。

※試しに"清純な中年男性"とグーグルで検索してみたら、風俗の話ばっかりが検索でヒットした。R18。こどもは見ちゃだめよ。

※言葉の普及を考える時、グーグル検索は一つの目安になると個人的には思っている。

 

なお、"清純な幼児"も同じように違和感があるとされる。

これは、幼児は清純に決まっているだろ、との固定観念によるものである。

・・・

それでは、"清純な子供"はどうか?

う〜む。"清純ではない子供"もいるからなぁ。ギリギリセーフか?

つまりは、分母に対して清純ではない割合が増えれば、言葉としてしっくりくるのだろう。

ならば、"清純な幼稚園児"・・・?

などと、ギリギリの線を考えるのも面白い。

※なんとなく、この"清純な〜"が適応する年齢は引き下げられる傾向にある気がする。

 

他にも面白い比較が多数。

・ピザとピッツァ。どちらが本格的な感じがしますかね?

・しとやかは子供には使いづらい。

などなど。

 

副題が〜日本語のセンスをみがく55題〜である。

例が、55題続く。

同じような調子なので、辞書的な要素も含んでいる。

読み続けると飽きるので、言葉の組み合わせを考えながら寄り道をすると良いと思う。

 

以下の人におすすめ。

・言葉の繊細さに興味がある人。

・文章を正しく書きたい人。

・"語感"と言われて、ピンとこなかった人。

 

 個人的に。

"語感"って考え方は、誰かに習ったわけでもないのに、日本人は共通して持っている。なんでだろう?と疑問に思った。

 

なお、著者は「語感 の辞典」たる辞書もまとめているので、本書を読んで興味を持った人は是非。