本作は、武士道に燃える17歳女子を描いた作品。
磯山香織と西荻早苗の剣道を巡る青春物語である。
「武士道セブンティーン」
あらすじを引用。
スポーツと剣道の、暴力と剣道の狭間で揺れる十七歳の剣道女子、柔の早苗と剛の香織。
2人は別々の場所から武士道の本質に迫っていく。
「強さは力」の香織と「お気楽不動心」の早苗。
対照的な相手から多くを吸収したふたりだったが、早苗は、家の事情で福岡の剣道強豪校に転入。
そこでの指導方法の違いに戸惑う。
一方、香織は後輩の育成に精を出す。
互いを思いつつも、すれ違うふたりは、目指す剣道に辿り着けるか。
大人気剣道青春小説、二本目。
"高校生時代、何の部活やってたんですか?"
僕が、誰かしらと二人きりになった時に切り出す必殺の質問である。
(天気の話よりも余程楽しい、と思う。)
部活はやってた人にとっては特別な体験なんだと思う。
僕自身はサッカー部だったので。
いわゆる球技系には親近感が湧く。
野球、バスケ、バレーボール辺りが該当。
自分で言うのも何だが。
サッカー部は部活の中で王道だと思う。
(強い or 弱い はさておき。)
一方で、剣道部ってどうなの?と考えると。
そもそも、僕の高校に剣道部があったのかどうか?すら定かではない。
一年前の今日は、晴れか?曇りか?ぐらい記憶にない。
これはもう確率論の問題だが。
①学年一の美男子 or 美女 が剣道部。
②あいつヤベェなと噂されるヤンキーが剣道部。
③クラスの過半数が剣道部。
・・・
などの問いを重ねると、何故、記憶にないかわかる。
(まぁ、恐れずに言うと・・・)
比較的、目立たないのである。
そもそも競技人口が少ないだろうし。
だが、本作を読むと。
部活は、どれだけ自分をつぎ込んだか?が肝要であると知る。
地味、派手ってどうでもよくて。
17歳たる青春のみなぎるパワーを一心不乱に注ぎ込んだプロセスが大切なのである。
磯山香織と西荻早苗の二人は・・・
そりゃもう、青春してますよ。
剣道に賭けていますよ。
剣の道で、泣いて笑って戦って。
全力疾走、渾身の力でぶつかっています。
(時にエアーバックが作動しない事もあろうけど。)
剣の道で友人を得て。
ライバルと戦い。
時に、涙する。
そもそも、"青春×部活"ってのは数々の名作を生んでいるのは言うまでもなく。
その魅力を今更語るのは憚られる。
※鳥の唐揚げって美味しいよね!!!と30歳になって語るようなモノだ。
ただ、加えて言うなら、題材がニッチだと、余計に面白い。
使い古されていない感じがいいんだよね。
例を挙げると・・・
・ウォーターボーイズ(題材 シンクロナイズドスイミング)
この作品で知って始めようと思いました!!!系である。
「武士道セブンティーン」もその域に達している。
主人公が女の子ってのも魅力。
娘ができたら読ませたいです。
僕の好きなシーン。
冒頭に磯山香織が西荻早苗に対して心の内でとある決意をする。
そしてあたしは誓った。
西荻。次に会ったとき、あたしはお前を、必ず、斬る。
・・・
17歳です。
本作、全編を通してこの類のユーモアに溢れている。
キャラクターとしての磯山香織が秀逸。
シュールで自嘲気味ながら、愛すべきキャラクターである。
ホント、青春って、良いものです。
ジャケットの青色も鮮やかでみずみずしい。
こんな子供に育ってほしいな、とも思いました。
追伸
僕は間違えてセブンティーンから読んでしまいましたが。
シックスティーンがありますのでお気をつけ下さい。