のらねこ日記

読書、映画、考え事など。色々なテーマを扱える人になりたいです。

「ジャッキー ファーストレディ 最後の使命」

ケネディ大統領暗殺。

誰しもが知るであろう大事件。

1963年11月22日の出来事。

 

映像で残っているのが衝撃的。

インターネットで検索すれば、決定的瞬間がすぐに見れてしまう。

不可解な点が多く、陰謀説が囁かれているのでテレビでも取り上げられる事が多い。

 

そんな大事件を・・・

ケネディ大統領の妻であったジャッキーの視点から描く映画。

「ジャッキー ファーストレディ 最後の使命」

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歴史的大事件を別の角度から照射する。

 

よく考えると、当たり前の話だが。

ケネディ大統領にも家族がいた。

夫が暗殺されて34歳で未亡人となった女性がいた。

小さな子供達がいた。

・・・

"ケネディ大統領暗殺"が一つの家庭を襲った悲劇であると気づく。

 

僕の中で、ケネディー大統領暗殺とは、過去に起きた歴史的大事件でしかなく。

陰謀説が語られる事でテレビドラマの中で起きた事のように思えていた。

言い方に語弊があるかもしれないが。

暗殺を痛みとして共感する目線があるのが初めて。

 

ジャッキーの経歴を引用すると。

24歳でケネディと結婚

31歳でホワイトハウスに入り、34歳で未亡人となった・・・

 

 本作は3つの時間軸で構成される。

ホワイトハウスを紹介するジャッキー(暗殺前)

・暗殺直前〜直後

・暗殺から少し経った後のマスコミからのインタビュー

場面が転換しながら物語が綴られる。

 

ジャッキーを演じるのはナタリーポートマン。

 

明暗の振り幅が観客の感情を揺さぶる。

・暗殺前の空間を華で彩るような笑顔。

・悲劇が起きた後、悲嘆の表情。

本作に深みを与えているのは彼女の演技である。

 

感情の交錯。

目の前で夫を銃殺された妻、なのである。

悲嘆、混乱、悲しみ・・・

それでいて、アメリカ大統領のファーストレディーとして"最後の使命"があるとの意識。

 

強い女性の物語ではないと思う。

予告編を見る限り・・・

"夫を暗殺されても使命を果たしたファーストレディー"的な描かれ方かと思っていたが、そうではない。

彼女が抱える感情の複雑さに言葉を失った。

 

ただ、複雑な感情を表に出すような作風ではない。

ナタリーポートマンのまなざし、表情に感情が滲む作品。

抑圧した思いが漏れ出ている。

 

本作は派手な映画ではないと思う。

ただ、主題は"痛み"であると捉えた時。

滲み出ていた出血量の多さに恐れ慄く。

 

感情を爆発させる表現も嫌いではないが。

抑圧した中に堪えきれない感情の欠片を感情を読み取った時。

心の中に残るものがある。

 

ちなみに、本作の監督は「NO!」たる良作を生み出した方である。

注目に値する。

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