恩田陸さんが大好きである。
僕が恩田陸さんの作品に最初に出会ったのは「六番目の小夜子」。
正直、内容はほぼ覚えていない。
ただ、夢中になって一気に読んだ事と、あっけない結末だけが記憶に残っている。
その後、恩田陸さんの作品は何作も読んでいるが、上記の感想は意外とブレない。
つまり、夢中になって、あっけなく終わる。
この点、白黒をピシッとつけたい人や、ドラマティックなラストを望む人には向かないとも思う。
ただ、上記を批判と受け取ってもらって欲しくない。
それでもなお僕は恩田陸さんが大好きなのである。
何故か?
途中経過が半端なく面白い。
そして、あっという間に世界観が浸透する。
ジェットコースターに似ているかもしれない。
スタートして結局、元の位置に戻るだけなのに、興奮冷めやらぬ。
スタートしてしまえば、もう他の事が考えられない。
ジェットコースターに乗っている人が"今日の夕飯何にしようか?"と考えないのと同じ感覚。
ちなみに僕はジェットコースターが苦手ですけど。
恩田陸さんの作品は大抵、生活の優先順位を乗っ取る。
とりあえず、恩田陸さんでも読むか、となる。
過去にも何作か紹介している。
さて、まさに恩田陸さんというべき作品を読んだので紹介する。
「夢違」
あらすじを引用。
夢を映像として記録し、デジタル化した「夢札」。
夢を解析する「夢判断」を職業とする浩章は、亡くなったはずの女の影に悩まされていた。
予知夢を見る女、結衣子。
俺は幽霊を視ているのだろうか?
そんな折、浩章のもとに奇妙な依頼が舞い込む。
各地の小学校で頻発する集団白昼夢。
狂乱に陥った子供たちの「夢札」を視た浩章は、そこにある符合を見出す。
悪夢を変えることはできるのか。
夢の源を追い、奈良・吉野に向かった浩章を待っていたものは―。
人は何処まで“視る”ことができるのか?
物語の地平を変える、恩田陸の新境地。
相変わらず、夢中になりました。
夢を映像化する、との設定が肝。
この子供がこんなことできたらなぁと考えそうな事を物語化できるのが恩田陸さんの素晴らしいところ。
恩田陸さんの作品は、読んだ内容よりも浸った世界観が印象に残る。