気づけば30歳を超えた。
電車に乗った酔いどれたおっさんが乗り過ごした最寄り駅のように、気づかぬうちに過ぎるとのだよね。
乗り過ごして終電逃すような事がないといいな、と思うばかりである。
男は不思議なもので、歳をとれば取るほどバカができるようになる。
心が広くなるのか、深くなるのか。
理由は定かではないけれども。
三十路を超えて、バカができる男になりたいと思う。
バカをできる男、は、バカな男とは決定的に違う。
可能である事と、そのものである事、の違い。
いわば、演じられるかどうか。
例えば、極悪人を演じる俳優が本当に悪い奴か?
否。
演技の振り幅の問題だけである。
僕が、バカができる男になりたいと思うのは、バカが一人いるとその場が救われるから、である。
周囲の人間が楽をできるから、である。
飲み会を開催する時、まあ、あいつがいれば大抵は盛り上がるよね。と思える人は、バカができる人だと思う。
そういうわけで。
三十路を超えて、今だからこそ、バカをやりたいと思う。
バカのできる人になりたいと思う。
ありがたい事に。
いい手本が周りにいる。
恵まれている。
大人の嗜み、として、バカができると解釈する。
その見方で周りを解釈すると。
あの人の人気も納得できるかもしれないね。
そんなことを思いながら、晩酌をする。