人は
"〜に違いない"
と思い込めば、
思い込み自体に影響を受ける。
貴方は高価なワインを買って来たとします。
ボーナスも入ったし、今夜は奮発して、と茹でたてのじゃがいもみたいなホクホク顔で。
その時、確実に"予測バイアス"が発生する。
つまり、
・高価なワイン = 美味いに違いないワイン
との思考回路。
お金を払った行為自体が、良いワインを買ったとの裏付けとなり、
"今夜の俺は美味しいワインを飲むぞ!"
との予測(期待)が成り立つ。
"美味いワインを飲む"との予測は、ワインを美味しくする。
全く同じワインを飲んだとしても、
・美味しいと期待(予測)して飲むワイン
・不味いと予測して飲むワイン
であれば、前者が美味しく感じるものである。
"いやいや、僕は味の違いがわかる男だから云々"
と語れる人もいるだろうが。
大半の人間は、予測バイアスにより、高価なワインで甘美な味わいを感じる。
良いか悪いかはさておき、
人とはそういうものである。
そんな事を実験結果と共に紹介してくれる本。
「予想どおりに不合理」
行動経済学が明かす 「あなたがそれを選ぶわけ」
ダン・アリエリー
本屋で出逢った本ですが。
実に興味深く。
出逢いをありがとう!本屋さん、ありがとう!
本作で紹介している実験に
・ビールに酢を加えて被験者に飲んでもらう
との実験がある。
ビールに酢?と言われれば、
誰もが不味いと予測する。
やってみようとも思えない。
多くの人は、ビール with 酢 に魅力は感じないであろう。
つまり、マイナスの予測バイアスが発生する。
実験の内容は簡単だ。
・事前に酢を加えた事を教えてからビールを飲んでもらう。
・酢を加えたと知らせずに、新種のビールとして飲んでもらう。
つまり、
マイナスのバイアスがあるかどうか、の違い、である。
マイナスのバイアスとは、ビールに酢を加える = 不味くなるに違いない、との予測である。
実験結果。
・事前に酢を入れていると知らせるとビールは不味く感じる
・知らせなければ、美味しく感じる(人もいる)
ビールに酢を入れたと知りながら飲むと不味く感じるし、
知らないで飲めば、新種のビールとして美味しく感じる、
のである。
この事を予測の効果、として紹介しているのだが。
経験則的に、そのような事が起きるのはわからないでもない、と思うのである。
以下、個人的な意見。
味の違いがわからない人が高級ワインを飲んでも意味がないか?
と問われると、そんな事はないのであって。
味の違いが結果、わからなくても、
予測(期待)のバイアスは確実に発生するので。
結果、同じ味でもお金を払えば美味しくいただける、のである。
その事、当人の幸せ、との観点からみると、お金を払った価値はあるのでは?と思ってしまうのである。
お酒は雰囲気によりけり。
高級である事は質が伴わなかったとしても意味がある事である。