印象に残る映画である。
単純におもしろい映画、とは少し違う。
映画の感想は十人十色であるが、天使がいた事には異論がないだろう。
娘役のエル・ファニングの天使ぶりは尋常ではない。
透明感が浮世離れしている。
それも、ただエル・ファニングが可愛いだけではなく。
"天使にみせる撮影技術"がある。監督の妙?であろうか。
主人公の男はハリウッドスターである。
ただし、中身は空虚。怠惰の中、つまらなそうに生活している。
そこに、娘であるエルファニングが登場する。
生活に潤いが・・・・
なんて単純な話ではなく。
二人の生活が淡々と描かれる。
この映画は劇的なシーンがあるわけではなく、全体的に淡い。
主人公の男は"失った時に今まで側にあったもの"がかけがえのないものであったと気づく。
失ったら愛を感じるであろうもの、なんて身の回りにはゴロゴロある。
一つ一つが愛おしい生活を形成していて。
一つでも失うと崩れてしまうジェンガのようなものなのかもしれず。
ただ、それは失わないと気づかないのだよね。
そうなると、メビウスの輪のように入口も出口もわからなくなる。
だけど、一つ言えるのは、人生が楽しい時期にはかけがいのないものは確実に側にあるって事。
・・・自分は気づいていないかもしれないけど。
気づく事が幸せなのか?
それとも、気づかないでも一緒にいる事が幸せなのか?
そんな議論をしてもしょうがなく。
ただ一つ言えるのは、男はまた歩き出したし、かえがいのないものはまた手に入るかもしれないって事。
いい映画だと思う。
ただ、暇つぶしにみるのではなく、映画をみたいと思っている時にみるのをお勧めする。