のらねこ日記

読書、映画、考え事など。色々なテーマを扱える人になりたいです。

自分自身の生き方が変わる脳科学の本。「海馬」

「海馬」〜脳は疲れない〜

池谷裕二

糸井重里

 

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自分自身の生き方が変わる脳科学の本。すげぇ、おもしろい。

"脳"とは?何者であるか?が軽快なトークと共に語られる。

構造を知らなければ、使い物になりません。

脳を知る事の重要性を気づかせてくれた本。

 

脳科学者の池谷裕二さん。

そして、コピーライターである糸井重里さんの対談である。

 

糸井重里さんといえば、ジブリ作品のキャッチコピーで有名。

紅の豚「カッコイイとは、こういうことさ。」

魔女の宅急便おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。

などなど。

僕自身は、糸井重里さんを知らなかったのだが、キャッピコピーだけは恐ろしい程に覚えているもので、全部同じ人の作品だと知り驚愕。

 

さて、本書。

まず、2人が相当な魅力を兼ね備えた人格者であると、対談から滲みでている。

読んでいて、生き方が気持ち良い、と感じた。

表紙の緑色のように、なんと鮮やかな性格であるものだと感心する。

 

そして、何より内容が魅力に富んでいる。

何点か、印象に残った話を紹介する。

 

歳をとると記憶力が衰えるなんて嘘だ。

衰えているのはあなたの好奇心である、と。

マンネリズムが記憶力を失わせているのである。

 

脳が記憶するにあたって重要視するのは、"感情"。

つまり、興奮している時は体験が記憶に残りやすいのである。

自分の人生で、鮮明に記憶に残っている事と感情の動きは同調している。

感情が高ぶっている時、記憶もまた鮮明になっている。

 

歳をとると、初めての経験が少なくなっていく。

仕事でも、プライベートでも、"同じような事の繰り返し"と思っていると記憶できなくなる。

 

子供がポケモンのモンスターを全て暗記できるのは、"子供の内は記憶力が良いのではなく""本当に面白いと思って記憶しているから"である、と。

心底、納得した。

 

脳は衰えるだけではない、歳をとってから成長もできる。

30歳を超えると、論理的思考力が高まるとの話。

なんと!おお、30歳になるのが楽しみだ、と。

 

脳は疲れない(表題の通り)

らしいです。

疲れているのは、体とか目、であると。

ならば、フル活用すべし。

使え、使え、使え。脳を使い続けるのだ。

 

さて・・・

本書が対談の形をとられている以上、なぜ対談なのか?との点にも触れる必要がある、と思う。

 

ずばっと、言うと・・・

2人が同じような事を考えているのである。

共振している、と表現したい。

 

つまり、糸井重里さんは脳科学者ではないが、自身の経験から"脳科学"についてコメントできるのだ。

池谷さんが脳科学の説、知見を語ると・・・

糸井さんが人生観を語る。

それが、見事すぎるぐらいに心地よく絡み合っている。

 

どちらも、ある道を追求し続けている人たちだが、エッセンスは重なるものだぁ、と感心しつつ。

得られる脳の知見に興奮しっぱなしの1冊。

 

おすすめ中のおすすめである。