2016年は、この本に出会えただけで価値あり!!!
と断言したくなる。まごうことなき名著。
間違いなく再読する。
「ファスト&スロー」
ダニエル・カーネマン
分厚い本で読了には時間がかかる。
ただ、それだけの価値がある事を保証。
※良書のため何回かに分けてブログで紹介する。
副題"あなたの意志はどう決まるか?"
人間の意思決定サイクルを丁寧に説明してくれる。
意思決定サイクル?
「そんなもの知らねえよ。自分の意志を決めているのは俺自身だ。」
と思ったあなた、大間違いである。
本書を読むと、
人間の意思決定サイクルが如何に無意識に行われているか?がわかる。
言い換えると・・・
人間の意思決定は無意識の内に決定されている部分が多い。
例えば、もし、あなたが・・・
水面に浮かんでいるお札のスクリーンセーバーを使っていたら・・・
あなたは知らない人がうかつにも鉛筆を落としてぶちまけた時、少ししか拾ってあげないだろう。
パッと読むとワケがわからない。
水面に浮かんでいるお札のスクリーンセーバー?鉛筆?
なんじゃそりゃ?である。
過去に経験がないから誰もがピンとこないのである。
ただし、本書の内容は"お札のスクリーンセーバー×ぶちまけられた鉛筆"の話を見事に納得させる。
本書にて、ある実験を紹介する。
被験者を
①"お金を連想させるもの"を見せるグループ
②見せないグループ
に分ける。
当然、①と②。
"お金を連想させるものを見たかどうか?"で行動にどのような影響がでるか?を確かめる実験である。
結論を先に言う。
・"お金を連想させるもの"を見た被験者は、自立心と利己心が高まった。
具体的に。
・被験者に対し、"鉛筆を落としてぶちまけた所、拾う本数が少なくなった"。
これはあくまで実験の結果である。
結果的に、そのようになりました、と言われれば納得できる気がする。
ただし、問題は・・・
そのような結果になる(心理的な影響を受ける)と今まで思いもしなかった事である。
無意識に行動が影響を受けているのだ。
つまり、お金のイメージによって、自立心や利己心が高まると意識できないのである。
この"無意識"がポイントである。
もし、あなたが部屋でお金の勘定をしている時・・・
突然、恋人から電話がかかってきて
"ねぇ、今から会えない?"と聞いたとする。
あなたはそんな気分になれない・・・。
すると、こう答えるに違いない。
「いや、今日はちょっと疲れているからまた明日にしようよ。」
・・・
当然、結果論で話をしている。
お金の勘定をしていなくても、あなたは今日は会う気分になれなかったかもしれない。
ただ、あなたは、"お金の勘定をしていた事で心理的な影響を受けていた可能性がある"のである。
そして、同じシチュエーションを何度繰り返したとしても・・・
「ごめん、今、お金の勘定をしていてさ。ちょっと自立心と利己心が高まってるんだ。だから、明日会おうよ。朝からお金を見ないようにしとくから。」
なんて、あなたは答えないだろう。
(おそらく、そんな答えで納得する恋人はいない。本書を読んだ直後なら話が一花咲くに違いないが・・・)
だから、怖い。
私たちは、何かする時、理由を持って行動する。
恋人との逢瀬を断るのは、"疲れている、眠い"とか、もっともらしい理由なのだ。
決して、お金を勘定していたからとは思えない。
・・・
だが、本当の理由は、"お金を勘定していたから"かもしれない。
実験の結果がその可能性を物語る。
本書にて語られる内容について。
①人間の意思決定は無意識の中でも影響を受ける。
②無意識の内に影響を受けても、我々は関知できない場合がある。
③それでも、我々はもっともらしい理由を見つけて整合性をとる。
人間の意思決定とは何か?
もしくは、全てを決めているかのような"ワタシ"の存在とは何か?
様々な例、実験の結果を基に紹介している。
素晴らしい本だと思う。