のらねこ日記

読書、映画、考え事など。色々なテーマを扱える人になりたいです。

映画「沈黙」

"対価"を追い求めた先に、"愛"はない気がする。

 

"私はこんなに頑張っているのに、あの人は評価してくれない。"

"僕がこんなに色々尽くしたのに、あの人は何もしてくれない。"

相手に対価を求め出すと関係は崩れだす。 

 

愛情に、対価の概念は必要ない、と思う。

理想論的になってしまうし。

現代社会の根底に"対価"の考え方があるのも重々承知。

 

ただ、愛情の形を突き詰めて最後まで追いかけた時。

残る言葉は"対価"ではない気がする、のだよね。

 

映画「沈黙」サイレンスを観て。

"対価"

そんな言葉を思い浮かべた。

 

"信仰に対価を求めるか否か?"

言い換える。

"私たちの祈りに対して。神は何をしてくれたのか?"

信仰もまた。

対価を求めると崩れ出すものなのかもしれない。

 

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あらすじを引用

17世紀江戸初期、激しいキリシタン弾圧の中で棄教したとされる師の真実を確かめるため、ポルトガルから日本にたどり着いた宣教師ロドリゴ

彼の目に映ったのは想像を絶する日本だった。

信仰を貫くか、棄教し信者達の命を救うか―究極の選択を迫られる。

 

ハリウッドを代表するスコセッシ監督が日本の小説家 遠藤周作の「沈黙」を映画化した作品。

 

舞台は江戸時代。

キリスト教への弾圧の話。

 

全編。

キリスト教への弾圧が繰り返される。

迫害、拷問、処刑・・・。

緊張感が保たれる描写が圧巻。

巨匠スコセッシの力量としか言いようがない。

 

僕自身は原作を読んでいたのだが。

"原作と比べるとなぁ・・・的な批評"をする隙が一切なかった。

原作を読んだ次の日に映画を観ても、感服する、と思う。

 

"キリスト教を棄てるか?命を棄てるか?"選べ。

本作を貫く問いかけである。

 

そして・・・

次々と信者たちが命を棄てていく。

信仰を守り、祈りを捧げながら。

 

苦しむ人々の声が聴こえるならば。

神はなぜ、何もしてくれないのか?

あなたに祈りを捧げて次々と弱き者が死んでいく。

神が存在するならば。

何故、祈りを捧げる弱き者を救ってあげないのか?

それでもなお、あなたは沈黙を続けるのか?

 

タイトルの「沈黙」とは。

神の沈黙の事である。

・・・

祈りを捧げて死んでく信者たちに対し、神は沈黙を続ける。

神は対価を与えない?

・・・

宣教師であるロドリゴは"神の沈黙"に揺らぐ。

目の前で拷問の果てに殺される信者たち。

"おまえが棄教すれば、彼らの命を助けてやる"と宣告され。

疑念と苦しみが渦巻く中で物語が進む。

信仰と対価を天秤にかけた精神的拷問。

・・・

そして、彼が最後に選ぶ道は・・・?

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原作と変わらぬテーマ。

"信仰と対価"の問題に揺さぶられる。

対価を求めるならば、選ぶ道はただ一つ。

ただ、それが正しい道なのか?

 

・それでもなお、信仰を守るのか。

・だからこそ、信仰を棄てるのか。

どちらの立場でも読み解けるのが本作。

 

日本人のキャストが多く出演。良い味を出している。

主演のアンドリュー・ガーフィールドも好き。