賞味期限とは?なんぞや?
「賞味期限切れだよ!お前は!!!」
独身アラサーにとって。
瀕死のアザラシを砂漠に放り投げるような辛辣な一撃。
言われた事はないが。
被弾している人は見た事がある。
(当然、変な空気になっていた)
世間的に男性はさておき。
女性は特にだろうなぁ。
最近、ドラマ化された「東京タラレバ娘」を引き合いに出すまでもなく。
結婚したいアラサー女性が焦る気持ちはわかる。
個人的には本人の自由とは思うものの。
・結婚適齢期があるのは事実。
・若さが羽生えて逃げていくのも確か。
そんな人間のジレンマを"賞味期限"に比喩して揶揄する。
・・・
よく考えると、最低な悪口ですね。
ただ、そもそも"賞味期限"とは。
・"この期限内なら美味しくいただけますよ。"との考え方。
期限切れで即食べられないわけではない。
一方、対になる消費期限は。
・"この期限まで食べないとお腹こわしますよ"との期限。
なので。
"消費期限切れなんだよ!お前は!!!"
と言われてないだけマシ。
とのポジティブシンキングも可能である。
と、前置きが長くなったが。
生きていく上で重要、との点もあり。
皆さんご存知の"賞味期限"。
"消費期限 "と"賞味期限"の違いがわからないくらいならば許せるが。
"賞味期限"は。
→この日付以降は食べない方が良い基準。
ぐらいの常識は持っていて欲しい。
ただ、そんな賞味期限だが。
"そもそも誰がどのように決めているのか?"
との単純な疑問。
30年近く生きてきて、賞味期限のカラクリって考えた事もなく。
そんな時に出会った本が・・・
「基準値のからくり」
内容を引用。(少々長いが)
基準値を見れば「日本」が見える!
賞味期限、食品の化学物質、放射線量、PM2.5、水質、血圧から電車内の携帯電話まで、
私たちはさまざまな基準値に囲まれて、超えた/超えないと一喜一憂して暮らしています。
しかし、それらの数字の根拠を探ってみると、じつに不思議な決まり方をしているものが多いのです。
たとえば、お酒はなぜ「20歳から」なのか、知っていますか?
基準値とは、その「からくり」を知らなければ、無用の不安や油断を生むだけの数字になってしまうのです。
本書では「基準値オタク」を自称する俊英研究者4人が、基準値誕生に潜む数々のミステリーに斬り込みます!
「基準値の謎」の例
●各メーカーで違うはずの食品の賞味期限、なぜどれも「横並び」になるのか?
●ひじきやコメにも多量に含まれる発がん性物質のヒ素にはなぜ基準値がないのか?
●第一原発事故後のヨウ素131の暫定規制値は、半減期による「濃度の減少」を前提としていた!
●決まるまで10年がかり! PM2・5基準値設定会議の意外な結末とは?
●同じ農薬、同じ残留量なのに、なぜ「リンゴは安全」で「キクラゲは危険」なのか?
●「避難と除染」の安全すぎる基準値と運用、これでは「福島に帰るな」と言っているようなもの!
●「優先席付近では携帯電話の電源をお切りください」という電車内アナウンスの奇妙さ!
●高速バスの夜間走行距離、基準値に「自信がある」ドライバーはわずか4割未満!
これらの謎の答えを知れば、「そんな決め方でいいの?」と何度も驚き、絶句することでしょう。一喜一憂する前に、ぜひご一読ください。
他の章も紹介したいが、今回は"賞味期限"を題材に。
賞味期限の決定は、まず検査を持って決められる。
簡単に説明すると。
①理化学的試験
→酸性度を示すPH、色の変化、油の酸化度合い、等。
②微生物学的試験
→細菌検査。要するに食中毒にならないかどうか。
③官能検査
→食べて美味しいかどうか?など。五段階評価 。
(食べる人がいるのが驚きである。)
①②③の結果がつまり、保存できる期間、と解釈される。
そこに、保存状態がわからんので安全をみよう、との考え方で"安全係数"を掛け算する。
例えば。
①②③の結果
→10ヶ月(保存できる期間)
だけど、安全をみて安全係数 0.8!
→8ヶ月を賞味期限としましょう。
との話である。
ただ、"安全係数"が実に曲者で。
筆者は、製造者側が設定したい賞味期限に変更するだけの調整弁では?と語る。
その例として。
農林水産省の調べが引用されている。
飴の安全係数を一覧にした表だ。
こりゃ、安全係数が出来レースと化している、との指摘も頷ける。
揃いも揃って、安全係数で調整されて賞味期限が12ヶ月になっている。
話し合って決めているのでは?とすら思う。
なんで?そうしているのか?等と考えると。
おそらく、流通を考えた製造者側の意向であろう。
つまり、"商品の回転は賞味期限が短いと早くなる"からだ。
そりゃそうである。
・スーパーが廃棄しようが、売れようが。
・消費者が棄てようが、食べようが。
製造者に入るお金は(あくまで一時的に)同じ。
消費者目線で考えても。
例えば、食べたい気分でなくても。
買ったお菓子の賞味期限が
①明日なら食べる。
②2ヶ月後なら食べない。
ならば、賞味期限は長ければ長いほど良い、とはならないのである。
この着眼点の最終的な着地点は、食品ロス、であろう。
社会の構造上・・・
"本当に保存できる期間"をギリギリを設定すると、商売的にロクな事がないのである。
①商品回転率が悪くなる(可能性がある)
→上記の通り。
②賞味期限を検査する期間が無駄。
→例えば、新しいお菓子を売り出すとして。
→賞味期限を5年に設定しようとすると、検査に5年かかる。
→その間、売り出せないとのジレンマが発生する。
※なお、現在の決まりでは、似たような商品の賞味期限検査は必要ない。
→飴を売っている会社が新しい飴を売り出す時は"既存の飴の賞味期限を流用可能"
③消費者に美味しく食べてもらいたい。
→その方がリピーターがつくからね。
製造業の立場で考えれば。
以下の条件を満たせば賞味期限は短ければ短いほど良い気がする。
・効率的に製造できるロット
・消費者目線で短すぎない
・自社の在庫は一掃できる
批判しているのではなく。
自分でもそう考えるだろうなぁ、と。
賞味期限と食品ロスの問題は、他にも多く本があり。
テーマを知れた、との点で実に良かった。
さてと、最初の話に戻ると。
賞味期限なんて適当なので。
悪口に使われたとしても気にしないのが良しである。
(それでも言われたくないけどね。)