のらねこ日記

読書、映画、考え事など。色々なテーマを扱える人になりたいです。

「英雄の書」は"物語"の物語である。

"物語"

さまざまの事柄について話すこと。語り合うこと。また、その内容。

世の中には色々な物語があって。

悪しきも、逆も然り。

そして、人はどんな時だって物語を求める。

もしくは、物語を求めて生き続けた。

 

小説に限った事ではなく。

映画はもちろん、舞台だって物語だ。

寝る前、描く自分の未来だって物語。

それが美しいものであっても、邪悪なものであっても。

 

本作、「英雄の書」は"物語"の物語である。

つまり、人々が物語を求めるもの、である、との前提を踏まえた上での物語である。

 

「英雄の書 上下」

宮部みゆき

f:id:anfield17:20180218151506j:plain

 

 

あらすじを引用。

森崎友理子は小学五年生。

ある日、中学生の兄・大樹が同級生を殺傷し、失踪するという事件が起きた。兄の身を心配する妹は、彼の部屋で不思議な声を聞く。

「ヒロキは『エルムの書』に触れたため、“英雄”に憑かれてしまった」。

大叔父の別荘から彼が持ち出した赤い本がそう囁いていた。

友理子は兄を救い出すべくたった一人で、英雄が封印されていた“無名の地”へと果敢に旅立った。

 

ファンタジー作品。

宮部みゆきさんのファンタジー作品と言えば、否応無しに「ブレイブストーリー」を思い出す。

共通しているのは、RPGゲーム的な世界観、であろう。

これが好きか嫌いか?は個人によるのだけど。

(ちなみに僕は好き)

 

"世界観"たるものは小説を語る上で非常に重要になる。

 

僕自身は下記のように考える。

 

・その小説の"世界観"が好きならば。

・その小説を好きだ、と言って良いと思う。

 

小説とは、イメージの産物である。

描写を具体的にイメージする場合もあれば。

読んでいる最中に茫漠とイメージするものもある。

物語に没入する中で生まれる副産物のようなもの。

小説を手にしている時に自分自身が包まれる雰囲気、と言っても良い。

 

本たるものは、読み始めて、中盤に差し掛かれば。

本は書かれている文字だけではなく空気を纏い出す。

 

宮部みゆきさんの話に戻すと。

僕は、宮部みゆきさんの実に少年チックなRPGファンタジー感が好きで。

本作も楽しませていただいた。

小説の楽しみ方として、それもまた一興だと思う。