のらねこ日記

読書、映画、考え事など。色々なテーマを扱える人になりたいです。

池井戸潤さんの作品はバッティングセンターでホームランを打つようなもの。「下町ロケット」

下町ロケット

池井戸潤

 

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あらすじを引用。

 

ドラマも大ヒット!
あの直木賞受賞作が、待望の文庫化!

「お前には夢があるのか? オレにはある」

 

研究者の道をあきらめ、家業の町工場・佃製作所を継いだ佃航平は、製品開発で業績を伸ばしていた。

そんなある日、商売敵の大手メーカーから理不尽な特許侵害で訴えられる。

圧倒的な形勢不利の中で取引先を失い、資金繰りに窮する佃製作所。

創業以来のピンチに、国産ロケットを開発する巨大企業・帝国重工が、佃製作所が有するある部品の特許技術に食指を伸ばしてきた。

特許を売れば窮地を脱することができる。

だが、その技術には、佃の夢が詰まっていた――。

男たちの矜恃が激突する感動のエンターテインメント長編!

第145回直木賞受賞作。

 

一言でまとめると、大企業と闘う中小企業の町工場。

 

中小企業の技術力で大企業との横暴に闘う。

 

本作はドラマ化しており、僕自身は見ていないが。

嫌でも入ってくる情報によって形成された事前イメージと100%合致。

この点、良くも悪くも、である。

 

少女漫画を読んでいて、とどのつまりヒロインと王子様が結ばれるんでしょ?と思ってしまうジレンマと既視感がある。

 

ドラマ 「半沢直樹」で強く印象付けられた物語の進み方。

誰かが言っていた。

池井戸潤さんの作品は全部こんな感じだよ!!!」

 

それでもなお、人はかくの如きストーリーに惹かれるのである。

 

判官贔屓、を今更語るまでもなく。

人は、フランス対クロアチアのW杯決勝でクロアチアを応援したくなるもの。

中小企業なめんなよ!!!

大企業に負けるなよ!!!

と言いたくなる。

 

バッティングセンターで例えてみる。

当たり前だが、(素人からすると)、全く打てないバッティングセンターって面白いか?

決してそうではない。

バッティングセンターとは。

カッキーン!!!!と打てるから楽しいのである。

 

打った所で何かあるわけではない。

それでもなお、人は打つためにバッティングセンターに通うのである。

 

池井戸潤さんはバッティングセンターみたいな爽快感のある作品を生み出す稀有な作家である。

この定義は悪くない表現に思う。

 

わかりきった結果であっても楽しいものは楽しい。

期待に応えるのは難しい事なのだけど。

池井戸潤さんは見事の期待に応える事のできる作家さんである。