ただ、騙されたと思って読んでみて「一分間だけ」
神様。
どうかお願いです。
一時間だけ、時間をください。
一年とか一ヶ月とか、そんな贅沢は言いません。
一週間、いえ、一日なんて望みません。
せめて、一時間だけ。
そしたら私、あの子に、リラにいろんなことをしてあげられるんです。
こんな書き出しで始まる本作。
・・・
わかりやすく泣かせにくる作品なのだけれど。
見事に、泣かされた。
(ので、家で、部屋の中で読むのがオススメ。)
特に、過去に犬を飼った事があって、愛情を注いだあなた。
絶対に泣いちゃいますよ。
犬を飼った事のない僕が、
涙で文字が滲んで先に進めなくなったのだから。
あらすじを引用。
ファッション雑誌編集者の藍は、ある日ゴールデンレトリバーのリラを飼うことになった。
恋人の浩介と一緒に育て始めたものの、仕事が生きがいの藍は、日々の忙しさに翻弄され、何を愛し何に愛されているかを見失っていく…。
浩介が去り、残されたリラとの生活に苦痛を感じ始めた頃、リラが癌に侵されてしまう。
愛犬との闘病生活のなかで、藍は「本当に大切なもの」に気づきはじめる。
“働く女性”と“愛犬”のリアル・ラブストーリー。
僕は本作に本屋さんで出逢った。
いつも何度でも思うけど。
素晴らしい本に出逢わせてくれてありがとうございます。
人生の彩りを重ねる。
自分の中の大切なものを少しずつ作品に近づいた時、
人は心が動くのだと思う。
本作は、たしかに"リラ"と名付けられたゴールデンレトリバーの話であるが。
そこで語られるのは、
誰かが誰かを真剣に大切に思う気持ちの温かみであったり、
大切なものに気づく、との
人生の彩りそのもの。
こういう作品に多くの言葉はいらず。
ただ、騙されたと思って読んでみて、と言いたくなる。
「一分間だけ」