月面着陸の重さ。ファーストマン
月面着陸、と言われると、
何だか自分とはかけ離れている話で、
現実味が全くなく。
想像するのは、
炬燵の中でぬくぬくとみかん食べながら、
自分が雪山で遭難して凍死する場面を思い浮かべるくらい困難な作業である。
そんな月面着陸であるが。
僕自身が産まれる前(僕は1987年生まれ)に既に成し遂げられていたのだから驚くべき事。
現代社会では、お金さえ積めば月に行けそうな雰囲気はあるが。
それでもなお、人類が、月に行くために傾けた情熱は、素晴らしいものである。
事実を知っていても、
物語は知らなかった。
故に、感動がある映画。
月面着陸と言葉にすれば、容易いが。
物語にすると、重み、質感が凄い。
その点が映画の中で、音と映像美により巧く表現されている。
よく考えると、
人が宇宙に行くのが、多難であるのは明らかで。
どういう人がどんな思惑で、とか。
個人の想いとか。
諸々を背負って打ち上げられたロケットは、
一言で言い表すならば、ロマン以外の何物でもなく。
自分の中にある大切な何か・・・
そこに、重ね合わせることにより、深みを増す映画だと思う。
「ファーストマン」
ライアンゴスリング主演。
僕はライアンゴスリングが好きで。
・ドライブ
・ララランド
どれも大好きな作品にて。
そのライアンゴスリングが主演ならば、映画館に足を運んでみようと思いて。
少々、冗長であり、退屈な部分もあると思う。
故に、諸手を挙げてとにかく観てくれとまでは言えない。
ただし、その辺りの忍耐力も含めて、”人類が月に行く偉業"そのものなのであると思う。
(無論、経験の及ぶ範囲ではなく、想像力の補える範疇でもないのだけど)
とかく、月面着陸たる偉業の重みを知るには重要な価値のある映画。
言葉にすると物語を喪失する。
年表にすれば、
・1969年に人類初の月面着陸 アポロ11号
との一言。
ただし、この映画の中で語られる"月面着陸"の物語には血が通う。
船長であるアームストロングが言う、
これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である。
との言葉は、実に鮮明に脳裏に残り、心に刺さる。
と上記の如く、
本作は月面着陸たる人類の偉業に血肉を通わせる映画である、と言えるが。
プラスして、船長であったニールアームストロング個人を語る物語である。
そこについては、エンディングまで含めて個々人により解釈が異なる気もするのだけど。
個人的には、最後のシーン、残像として心の中で燻り続けている。
エンターテイメントではなく。
記憶に残る映画として。