のらねこ日記

読書、映画、考え事など。色々なテーマを扱える人になりたいです。

2022-01-01から1年間の記事一覧

八日目の蝉

「八日目の蝉」 角田光代 その一言を思い出した時、 あの時、あの瞬間に、 深層に含まれた意味を知る。 その一言を思い出す時、 情景が、人生の物語における一つの帰結として、 目の前に浮かび上がる。 本作はそのような瞬間を描いているのだが、 実に見事。…

サピエンス全史 備忘録

「サピエンス全史」の中では、 人々が狩猟から農耕への移行が必ずしも人々を豊かにしたわけではない、 と繰り返し指摘される。 もちろん、当時の人々も豊かさを求めた結果。 安定した生活に支えられた平和な未来。 そこに希望を感じたからこそ、 人々は進ん…

法治国家とは神話であり虚構であろうか?サピエンス全史の感想

10,000匹のチンパンジーが・・・ 一つの場所に集合している姿を想像して欲しい。 おそらく、 異様な光景であると感じるに違いない。 チンパンジーに限った事ではない。 ライオンでも、ネズミでも・・・ 哺乳類が、10,000を超えて集合するのは、通常では起こ…

小麦が人類を家畜化した?

「サピエンス全史」 農業革命。 つまり、狩猟民族から、農耕民族への移行。 時が流れるにつれて、 歴史は農耕民族である事を選んだように物語る。 ただし、その選択は、必ずしも進歩の歴史ではない、と本書は語る。 狩猟民族から農耕民族への移行は人類の進…

仕事のモチベーションは必ずしも報酬によらない。

必ずしも報酬が全てではない。 人生とは、 ・金で得られるものがある ・一方、金で得られないものもある。 至極、当たり前の話。 物事に白黒をつける。 善悪を決めたがる習性により、混乱するのだけれど。 白黒をつけないと非常にわかりやすい。 世の中は、 …

小説の境地。

酒は止めたけれども、 何もする気にはなりません。 仕方ないから書物を読みます。 然し読めば読んだなりで、打ち遣って置きます。 私は妻から何の為に勉強するのかという質問を度々受けました。 私はただ苦笑していました。 然し腹の底では、世の中で自分が…

変身 カフカ

ある朝、不安な夢から目を覚ますと、グレーゴル・ザムザは、自分のベッドのなかで馬鹿でかい虫に変わっているのに気がついた。 「変身」 カフカ 本作は、ある男が朝起きたら虫になっていた。 との一文から始まる世界的に有名な文学作品である。 始まりのイン…

司馬遼太郎について

司馬遼太郎の小説に、彫像に似通うものを感じた。 彫像。例えば、木彫りの熊をイメージして欲しい。元はといえば一つの材木が、彫刻の積み重ねにより、姿を現す。 熊の原型は材木にはない。材木が彫刻刀で少しずつ削られた到達点として、生命を宿す熊が現れ…

小人物の扱い方について

偉人は小人物の扱い方によって、その偉大さを示す。 人を批評したり、非難したり、小言を言ったりすることは、どんな馬鹿者でもできる。 そして、馬鹿者に限って、それをしたがるものだ。 「人を動かす」から引用。 小人物の扱い方、とは、非常に難儀な問題…

国盗り物語

庄九郎にとってなにが面白いといっても権謀術数ほどおもしろいものはない。 権ははかりごと、 謀もはかりごと、 術もはかりごと、 数もはかりごと、 この四つの文字ほど庄九郎が好きな文字はない。 これは国盗り物語の中で、 庄九郎(稀代の権謀術数家といえ…