のらねこ日記

読書、映画、考え事など。色々なテーマを扱える人になりたいです。

話題作 「シンゴジラ」"映画自体の思い出"と"観終えた後に各シーンへのツッコミを肴に酒を煽った"のが同等に思い出深い。

持論であるが。

話題作ってのは、本作が面白かろうが、つまらなかろうが、観る価値がある。

僕自身は、時の潮流に乗るタイプの人間ではないのだけど。

面白いかどうか?は自分の目で判断したい。

 

それにしても、話題作は、斜に構えてしまうから大変。

"みんなは絶賛しているみたいだけど、何が面白いのかわからない"と語る事がカッコイイと思う感じ、の事である。

・・・

これ、自分で語っていると実に気持ち良いのだが。

他の人が語っているのを見ると冷めてしまう。

俺は着眼点が違うぜ。(へへっ、カッコいいだろ)

とのナルシズムが溶け込んだ文章 or 語り口ってのは、実に気持ちが悪い。

 

大切なのは、語り口がカッコいいか、ではなく。

素直にどう感じたかを文章にする事。

自分自身の戒めである。

 

前置きが長くなったが。

2016年の映画界における話題作といえば、「君の名は。」と「シンゴジラ」である。

僕自身は両方の作品を観て、実に良き感想を持った。

 

今回は「シンゴジラ」について。

この映画、僕が観に行ったが、2016年11月。

まだやってたんだ!行くしかない!と思い、友人を誘って突撃した。

 

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結果的には、友人と観に行って良かった。

何故か?

ツッコミどころが満載だから、である。

"映画自体の思い出"と"観終えた後に各シーンへのツッコミを肴に酒を煽った"のが同等に思い出深い

(素直に名作だと考えている人たちごめんなさい!!!)

 

酔った我々は、最終的にはもはやコメディ、との結論に達した。

 

ただ、全てがコメディなわけではない。

 

ゴジラの破壊シーンは神々しさすら感じ。

東京に壊滅的な打撃を与えたゴジラが佇む時には言葉を失う。

心の中で「うお・・・・」と呟きたくなる。

ハンマーで頭をドカンと殴られたような衝撃を受ける。

(人によっては泣いてしまった、との話も聞く。)

暴力性の究極を通り越した超越的な存在であるゴジラが、もはや美しさすら感じるように描かれる。

このシーンを観るだけでも、映画館に行く価値がある、と断言する。

 

描きたい構図は明確。

オタオタする政府。

その中で頑張ろう日本!が台頭する。

世界各国を含めて非情な決断が下される中、ニッポンの底力見せてやろうじゃないか!!!的な話の流れ。

(この展開は人によって寒く感じると思う。)

 

そこから先のニッポン総力戦は見もの。

特に気に入ったのは、ゴジラに対して爆弾を詰め込んだ電車が突撃するシーン。

※失念していたが、調べたら"無人在来線爆弾"との言葉があるみたい

 

ゴジラに対して、各在来線が爆弾を背負って突撃するのである。

このシーンが秀逸。

わざわざ京浜東北線から山手線・・・

各在来線を丁寧に揃えているバカバカしさ。

 

そんなシンゴジラであるが。

個人的には自衛隊の描かれ方が興味深く。

おそらく、徹底した調査の上で描かれたのだろう、と思わせる。

 

もしも、こんな事が本当に起きたなら?

自衛隊はこうなるのかな?

との視点で唸らされた。

(本当かどうかは知らないが)リアリティがある。

 

子供目線では、会議シーン/早口のセリフが多く。

ゴジラがドンパチやる事だけを目的のお子さん大丈夫??

大人目線では、主人公格のキャラぶれ感。

(なんの描写もなくいい奴キャラになる。しかも、キャラ自体が寒い。)

等。

気になる点はあるのだが、補って余りある魅力あり。

 

本作を観て、ハッと思ったのは。

人の死が描かれた作品ではない事。

当然、ゴジラの破壊によって大勢の人が死んでいるのだろうけど。

あくまで鳥瞰的に描かれる。

個人に寄り添った死を感じるようなシーンがない。

故に、かわいそうだ、との感情が湧かないのである。

 

テレビで知る世界と現実の乖離、なんて使い古された言葉だけど。

改めて、描かれ方によって印象が異なるものであると、思った。

自分の胸の内にある感情と重なる。

 

結論。

「シンゴジラ」は、映画のエンターテイメント性を見事に体現した作品である。

話題になってしかるべきだと思う。