魅力溢れる歴史小説を読んで。
改めて今更ながら思った。
「忍びの国」
和田竜
激烈に面白い。
一日で一気に読んだ。
あらすじを引用。
時は戦国。
忍びの無門は伊賀一の腕を誇るも無類の怠け者。
女房のお国に稼ぎのなさを咎められ、百文の褒美目当てに他家の伊賀者を殺める。
このとき、伊賀攻略を狙う織田信雄軍と百地三太夫率いる伊賀忍び軍団との、壮絶な戦の火蓋が切って落とされた──。
破天荒な人物、スリリングな謀略、迫力の戦闘。
忍者の話である。
伊賀の中でも随一の腕を持つ"無門"たる忍者を中心に話が進む。
この無門が半端ではない腕の持ち主であり。
爽快感の溢れる切れ味である。
具体的なエピソードを紹介すると。
夜、敵の城に単騎で潜入し、
敵の大将に対し枕元で、
「今宵限りで伊賀を攻めるは忘れよ。
忘れぬとあらば、この無門様が再び寝物語に来るぞ。
怖かろう。わしが恐ろしければ、伊賀を忘れることだ」
と忠告する。
・・・
えぇーー!!!!
やろうと完全に殺せる。笑
しかも、堂々と"無門"と名乗り、再び来るぞ、と脅す。
・・・
歴史を変えられます。
最強の暗殺者です。
しかも、相手は当時、全盛を誇っていた織田信長の息子。
現代で考えると、
アメリカ大統領トランプさんの息子に対して枕元に押し入ったと考えれば良いのだろうか。
・・・
改めてすげぇ話。
と、いうわけで。
無門の忍術は常軌を逸しているのは言うまでもなく。
ただし、隕石を降らせて敵を全滅する、みたいな妖術的な話にはならぬのでご安心。
忍術がファンタジーにならない程度のギリギリで収めておくのが妙味。
(名著「影武者 徳川家康」を読んだ時も思ったが。)
ただし、無門は伊賀の使命に燃える忍者ではない。
超絶の怠け者であり、めんどくさがりなのである。
・常軌を逸した忍術も持ち主である無門
・超絶怠け者である無門
の人物像に幅がある点が際限なく魅力を生む源泉である。
しかも、妻である"お国"の尻に敷かれる。
先に触れた"敵の城に単騎で潜入し〜"の件も、伊賀忍者の使命を帯びて行った行動ではなく・・・
元を辿れば、お国の機嫌をとるための行動である。
子供が絨毯の上に醤油をこぼしてしまい、バレるの嫌で家に火をつけるようなものだ。
無類の強さを誇る無門が、対お国だけは何か言われると直ぐに・・
「参ったなぁ・・・」と言う風になる。
この辺りがなんとも愛おしい。
物語は、伊賀の国を織田信長の息子である信雄が攻める or 攻めない、の中で進行する。
その中で
渦巻く伊賀忍者の陰謀。
貫かれる戦国武将の侠気。
まさに、見どころ満載。
歴史小説にハマる日々が続きそうである。
登場人物の名前がわからなくならぬよう。
いっその事、メモをする事をお勧めする。