細菌とウイルスの話。
目に見えない奴ら。多くを知らず。
僕自身の認識から話を始めたいと思う。
まず、僕自身、細菌とウイルスの区別が不明であった。
細菌?ウイルス?そんなん知らねーよ。
どっちも風邪を引き起こす悪い奴らだろ?"
…との認識。
常識的な話なのかもしれないが。
知った時の"え!そうなんだ!"との感情は強いものあり。
説明を試みたい。
■大きさ→"ウイルス<細菌"である。
ウイルスよりも細菌の方が大きい。
具体的な大きさを比較すると。
・髪の毛の太さ…約80マイクロメートル
※(剛毛の人はどうだか知りません)
・大腸菌(細菌)…約3マイクロメートル
・インフルエンザウイルス…約100ナノメートル
ナノメートル???何じゃこの単位は?
…となった人のため、マイクロメートルに合わせましょう。
・インフルエンザウイルス…0.1マイクロメートル
→髪の毛の太さが80マイクロメートルですので、小ささが浮き彫りになります。
冬になると、インフルエンザウイルスが大流行。
我々は、かなり小さい奴らに倒されているわけですよ。
ただし、違うのは大きさだけではない。
ウイルスには細胞がない。
そのため、エネルギーやたんぱく質を生み出す事ができない。
…
要するに、ウイルスは独力では生きる事ができない。
故に宿主が必要。
…
よって、ウイルスは我々と同盟を結んでも不思議ではない。
つまり、宿主が死んでしまったらウイルスも共倒れする
例えば、会社に入社したとして。
会社が潰れたらあなたの給料は支払われなくなります。
よって、あなたは会社が潰れない程度にがんばります。
非常に単純な話。
そこには共生関係がある。
この共生関係がウイルスを考える上で重要。
ウイルスも、宿主にダメージを負わせたくないのだ。
この事を考える上で、おもしろき例あり。
紹介したい。
1950年代のオーストラリアにて。
ウサギが爆発的に増殖し、食害などを引き起こし問題となった。
そこで、ウイルスによるウサギ駆除作戦が立てられた。
作戦はシンプル。
・ウサギ粘液腫ウイルス(ウサギ致死率 99.8%)を使用して駆除する。
つまり、ウイルスをばらまくことでパンデミックを引き起こす作戦。
99.8%致死のウイルスである。
ウサギにとっては恐怖そのもの。
インフルエンザウイルスがかわいく思える。
当然、効果あり。
6億羽と推定されたウサギの90%は駆除されたとの事。
さて、問題はここから。
致死率 99.8%を誇るウイルスの致死率は未来永劫変わらなかったか?
否。
・2年後には致死率 80%
・6年後には致死率 20%
と致死率は低下していった。
ウサギの免疫によるものである。
何となく理解できる。
ただ、驚くべき事は・・・。
6年の時を経て、ウイルス側も変化していた事である。
つまり・・・
①6年間経ち、致死率が20%に低下した状態でウサギからウイルスを採取する。
②感染を経験していない(免疫なし)ウサギにウイルスを摂取する。
すると、ウイルスの致死率は50%程度に下がっていたそうである。
致死率 99.8%ウイルス
→6年間ウサギと共生。
→→致死率50%に低下。
である。
この事、ウイルスの適応と解釈できる。
ウイルスにとって宿主を殺す事はメリットがない。
だから、ウイルスもまた変化したのである。
ウイルスと聞くと、誰しもが眉間にしわを寄せるような嫌われ者である。
ただ、悪気があって攻撃を仕掛けているわけではなき事。
適応さえしてくれれば、インフルエンザウイルスだってウェルカムなのだけどね。