のらねこ日記

読書、映画、考え事など。色々なテーマを扱える人になりたいです。

フグの毒を漬けて食う。発酵の力、そして勇気。

目に見えぬものをコントロールするのは難しい。

至極、当たり前の事を言うが。

難事を伝統技術として育んできたのが日本である。

(日本だけに限った事ではないけれど。)

 

具体的に言うと。

・日本酒

・漬物

・味噌

・醤油

などなど。

 

これらは全て発酵技術によって得られるものである。

発酵は、微生物たる"目に見えぬもの"をコントロールして成立する。

 

微生物は顕微鏡なくして目視できないので。

昔の日本人は理論は知り得なかった。

(顕微鏡による微生物の発見は1674年の事)

つまり、微生物の働きで発酵の恩恵を受けるとはわからなかったはずなのだ。

 

その点、興味深く。

どう解釈したのだろう?と思うわけだが。

 

基本的に、発酵 = 長期的な放置 によって得られるものなので。

最初に食べた人、勇気あるよね、と思ってしまう。

(一歩間違えれば、腐っているのと同義だからね)

 

日本における発酵の記述は魏志倭人伝の頃に既にあるそうで。

(酒に関する記述との事)

一体、当時の彼らは、なんでそうなるのか?について。

どう解釈したのであろう、と考えてしまう。

 

「ぶどう放置しておいたら、意外といけるぞ!」

「おお!これはすごい!」

・・・

「でも、なんでこうなるの?」

と考えた時、

 

神の恩恵と解釈するのが自然であり。

だから、神さまとお酒は関係が深い(全世界的に)のだと思っている。

 

面白い発酵食品で紹介されていたのが。

 

石川県金沢市辺りでのフグの精巣を糠漬けにしたもの。

フグに毒があるのは誰しも知っている事と思うが。

毒は精巣にある。

その精巣を食す。

・・・

ただ、そのまま食べると死ぬので。

・塩漬けに1年

・糠漬けに2年

すると、あら不思議!

無毒になる、との事。

 

漬けになっている間に毒がなくなるらしいのだ。

金沢県の名産お土産になっている、との事で。

ちょっぴり怖い気もするが食べてみたいもの。

 

ただ、最初にフグの精巣を糠漬けにして食べた人ってどういう発想で?

と思う。

諸々、最初に実行した人は偉大だと、コロンブスの卵的な話はよく言われるが。

"毒がある生物を食べる"

とのチャレンジは命を賭けている分、質が違う気がする。

 

しかも、放置期間が長すぎる。

毒物なのだから、2〜3年経とうが毒のままだろ、と思うでしょうよ、普通。

しかも、微生物さんにお願い!って。

お願いできる相手が目に見えないのだから、一体全体どういう了見で食したの?と聞きたくなる。

 

「3年ぐらい漬けたから毒消えているんじゃね?」

と思って食べたのだとしたら。

もはや、勇者ではなく、命を粗末にしているだけである。

一体、全体、どのようなお考えを・・・?

 

どう考えても、試行錯誤あり。

お腹痛くなる程度なら良いけれど。

多々、犠牲もあったんだろうなぁ。

伝統的な発酵技術の獲得には。

 

それ以外にも諸々。

伝統的な日本食がいかに"発酵"によって支えれてきたかがよくわかる本を紹介。

※つい最近も記事にしたけれど。

発酵の話は本当に面白い、と個人的には思う。

 

「発酵」

中公新書

f:id:anfield17:20181020221238j:image