もう10年前に読んだ作品。
衝撃的作品、と言っていいと思う。
"すごく面白いから読んでみなよ!!!"と紹介できる作品ではない。
だが、僕にとっては・・・
読書たる行為が強烈に精神を揺さぶるものである、と、思い知らされた作品の一つである。
大まかに語ると
・読書を体験としたいなら読め!
・読書を娯楽と考えるなら読むな!
である。
読書を体験と評すると実に抽象的であるので。
まぁ、言い方を変えると、本作を読む行為は・・・
"重たいハンマーで頭を思いっきり殴られるようなものである"
もちろん、あくまで精神的な意味合いにおいてだけど。
何かしら伝わると幸いである。
「蝿の王」
ウィリアム ゴールディング
あらすじを引用
飛行機が墜落し、無人島にたどりついた少年たち。協力して生き抜こうとするが、次第に緊張が高まり……。
ノーベル文学賞受賞作家による不朽の名作、半世紀ぶりの新訳登場
疎開する少年たちを乗せた飛行機が、南太平洋の無人島に不時着した。生き残った少年たちは、リーダーを選び、助けを待つことに決める。大人のいない島での暮らしは、当初は気ままで楽しく感じられた。
しかし、なかなか来ない救援やのろしの管理をめぐり、次第に苛立ちが広がっていく。
そして暗闇に潜むという“獣”に対する恐怖がつのるなか、ついに彼らは互いに牙をむいた―。
ノーベル文学賞作家の代表作が新訳で登場。
本作は、無人島の少年たちの話である。
ただし、そこから想像する、"少年たちの無人島冒険活劇"的な話ではない。
対極に近い。
最初は助け合っていた子供達が段々と狂気に侵食されていくストーリーである。
僕にとっては、"無人島と少年"の組み合わせが持つイメージをぶち壊した作品。
"無人島×人間の狂気"をテーマにした作品は多いが、本作はその中でも傑作であると思う。
なぜ?そう思うか?と問われれば。
10年を経ってもなお・・・
僕は本作の描写するシーンはっきりと記憶していた点、を持って理由としたい。
"10年間記憶から消えなかった小説ってそんなに多くありますか?"
と自問自答する事が証左となる。
本作は非常にイメージに残りやすい作品であり。
テーマとタイトルも含めてインパクト大。
作者はノーベル文学賞を受賞しており、世間的にも名作とされる。
かのような作品は、つべこべ語らずに"とりあえず読め"と言いたくなる。
この度、新訳が出版されたので書店にて手を取り、再読に至る。
かのような名作を新訳として世に送り出してくれたハヤカワ文庫に感謝である。